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<title>日経デジタルコア</title>
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<tagline>日経デジタルコアのサイトです。</tagline>
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<title>人類発展の基盤はイノベーションにあり　産・学・政でフォーラム発足</title>
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<summary type="text/plain"> 　 　２月４日、慶應義塾大学SFC研究所主催で「ネットビジネスイノベーション（...</summary>
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<name>NIKKEI</name>

<email>yuji.ichige@nex.nikkei.co.jp</email>
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<dc:subject>00100ネット時評</dc:subject>
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<![CDATA[<p><img alt="kim2010.jpg" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/kim2010.jpg" width="100" height="130" /><br />
　<br />
　２月４日、慶應義塾大学SFC研究所主催で「ネットビジネスイノベーション（NBI）政策フォーラム」のキックオフシンポジウムを都内で開催した。シンポジウムには、鈴木寛文部副大臣、内藤正光総務副大臣、近藤洋介経済産業政務官、津村啓介内閣府IT戦略担当政務官など１０人を超える政治家や、孫正義ソフトバンク社長、村上憲郎グーグル名誉会長、堂山昌司マイクロソフト副社長など産業界からも多くの方々に参加いただいた。シンポジウムでは、まず民間側から「ネットの創造的活用による日本再生についての民間からの提言」を、政治側から「政策立案者が描く日本のＩＴビジョン」をそれぞれ提示。これを受けたパネル討論では、ネットの創造的活用のための課題の抽出と活動の方向性の設定について議論し、「イノベーションこそが成長のエンジンである」とした<a href="http://nbi.sfc.keio.ac.jp/100204/dl/NBI_0204.pdf">声明文</a>を採択した。<br />
　<br />
<a href="http://nikkeidigitalcore.jp/images/Forum0204.jpg"><img alt="Forum0204.jpg" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/Forum0204-thumb.jpg" width="200" height="133" /></a><br />
議論するパネリストたち<br />
　<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p><strong>政治・企業・大学の「原点」</strong></p>

<p>　NBI政策フォーラムが目指すビジョンは、「政治・企業・大学がそれぞれの役割の原点に戻り、イノベーションを軸とした政策決定のパートナーシップを組むことで経済を発展させ、生活を豊かにする」ことである。</p>

<p>　では、政治・企業・大学にとっての「役割の原点」とは何だろう。私たちは次のように考えてみた。</p>

<p>＜政治の原点＞<br />
まず政治というのは、本来公共利益を最大化するための立法を行うことが使命である。しかし日本の政治は長年、政策議論や決定を省庁任せにしてきたところがある。「政策を作らない、または作れない政治」、それが戦後日本の政治の姿ではなかろうか。その弊害がここにきて表面化してきている。そこで今求められるのが、立法の主役としての政治の役割を取り戻すことである。そのためには政治家自身の立法能力を高めることや、立法を支援する体制（例えば米国の連邦議会調査局や独立系政策シンクタンクのような）を構築することが必要である。</p>

<p>＜企業の原点＞<br />
次に企業というのは、本来優れた製品やサービスを社会に提供し、その価値を認めた消費者から代価をもらい、その結果として利益を生む主体であるはずである。しかし、今日の多くの企業は、金融危機に象徴されるように営利を追求しすぎるあまり、本来担うべき社会的責任をおろそかにし、結果として社会に対し様々な副作用を生んでいる。最近ビジネスイノベーションと対立する概念としてソーシャルイノベーションが注目されているが、本来ビジネスというのは社会貢献を伴うはずである。両者が対立概念ではなく、類似概念としてイコールになるように事業者は努めることがいま求められている。</p>

<p>＜大学の原点＞<br />
最後に大学であるが、政策分野に限って言えば、今の大学は省庁主導の審議会に取り込まれ、独立した声を持っていない。日本の大学には、大学という象牙の塔に閉じこもって、ときには時代遅れの幻想に近い権威を頼りに、社会の問題に対し目を背け、行動を起こそうとしない学者が多すぎる。大学人は大学に引きこもることをやめて、社会への使命感や責任感を行動を通じて示していく、そういう実践的な学問を目指すべきである。</p>

<p>こうした、ある意味ゆがんだ現行の政治・企業・大学が、それぞれ本来の役割の原点に戻り、イノベーションを軸とした政策決定のパートナーシップを組むことで、国民主体の政策決定を創り上げていかなくてはならない。その基盤、プラットフォームとして設立されたのが本フォーラムである。</p>

<p><br />
<strong>イノベーションで活力ある日本を</strong></p>

<p>　このフォーラムが、活動の基軸を「イノベーションの推進」に置いたのはこういう理由からだ。人類が長年発展し繁栄し続けてきたのは、資源の量が増えたからではない。限られた資源を有効に活用し、そこから新しい価値を生み出し続けてきたからである。その価値創造を可能にするものがイノベーションだ。特に、激化するグローバル競争の中で少子高齢化を迎えている日本は、イノベーションを通じて一人一人の生産性を高めていかなければ、今まで築いてきた国際競争力を維持・拡大していくことは出来ない。イノベーションを基軸とした活力ある国家像をデザインし、その実現のための政策のあり方を議論し、デザインする場として本政策フォーラムは生まれた。今後は主要な政策問題ごとにタスクフォースを立ち上げ、具体的で実効性のある政策を皆さんと共に作っていきたい。</p>

<p><br />
<table BGCOLOR="#FFFACD"><tr><td><p><B>＜筆者紹介＞金　正勲(Junghoon Kim)</b>慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授<br />韓国生まれ。米国インディアナ大学テレコミュニケーション学部アソシエイトインストラクター、英国オックスフォード大学知的財産研究センター訪問研究員、独逸連邦防衛大学訪問研究員、知的財産研究所外国人招聘研究員、欧州連合（EU）技術標準化戦略専門家パートナー、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構准教授を経て2009年4月から現職。文化審議会著作権分科会委員、総務省国際郵政行政懇談会委員、総務省電波利用将来像検討委員会委員、総務省ICTビジョン懇談会コンテンツ流通促進SWG委員、経済産業省情報大航海プロジェクト著作権検討ワーキンググループ&著作権制度提言検討タスクフォース委員。BSフジPRIME NEWSブレインキャスター。情報通信学会理事、コンテンツ学会事務局長。</p></td></tr></table><br />
</p>]]>
</content>
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<title>事業仕分けで痛感「日本のＣＩＯ」不在――電子政府実現に向けて</title>
<link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2010/03/post_222.html" />
<modified>2010-03-08T02:20:21Z</modified>
<issued>2010-03-08T02:16:09Z</issued>
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<summary type="text/plain"> 　 　昨年11月、行政刷新会議の事業仕分けに「仕分け人」として参加した。ICT...</summary>
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<name>NIKKEI</name>

<email>yuji.ichige@nex.nikkei.co.jp</email>
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<dc:subject>00100ネット時評</dc:subject>
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<![CDATA[<p><img alt="uchida02.jpg" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/uchida02.jpg" width="100" height="130" /><br />
　<br />
　昨年11月、行政刷新会議の事業仕分けに「仕分け人」として参加した。ICT関係では、スーパーコンピューターが話題を独占してしまった感があるが、電子政府・電子自治体を考える上でも多くの課題が明らかになった。情報セキュリティ関連の研究者として、また、自治体のCIO補佐監という立場からも、そこで得た知見は大きい。<br />
　<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p><strong>ICTの専門家とは？</strong></p>

<p>　アラビア語には、「ラクダ」を表す単語がたくさんあると言う。「年取ったラクダ」、「美しいラクダ」、「機嫌の悪いラクダ」等々。これらを区別しないと説明に苦労するからだ。文化が形成される過程で、ラクダの存在感が大きかったことを示している。</p>

<p>　昔ある大手企業にいた頃、自己申告書の記入欄に各種業界資格の欄があり、それぞれ初級から上級までいくつかに分かれていたが、その企業の主要業務をICTが支えていたにもかかわらず、ICT資格は１つしかなかった。</p>

<p>　今の政府や自治体のICT政策を見ていると、「ICT専門家」という一職種しか考えていないように思える。</p>

<p>　電子政府、電子自治体の推進のために必要なICT専門家は、コンピューターやネットワークの「アーキテクチャー」だけの知識を持った人たちでもないし、表計算ソフトのマクロプログラムやパーソナルデータベースを使って個人や少数の人たちのための業務を担う人たちでもない。</p>

<p>　事業仕分けで、筆者が「重要なのはICT人材の人件費を100万円／月から80万円／月に削減することではない。120万円／月・人でも、優秀な人材を集めれば総額では安くなる」と発言したことや、所属省庁のICT経費が適切であるかどうか、といった情報が省庁CIO補佐官の間で飛び交ったとか。CIO補佐官が所属省庁のICT経費を「再度」見直したのであればよいのだが。</p>

<p>　電子政府、電子自治体が求めるべきICT専門家の条件は、プロジェクトマネジメントやBPR（business process re-engineering：業務プロセスの見直し・改革）等の知識・経験を持っていること。業務改革を行いながら、総合的なICT化を推進する知識・経験を持ち、適切な価格で外部委託する必要があるからだ。委託先からの見積りを何の疑いもなく受け入れたり、外部へ「丸投げ」しかできないようでは専門家とは言えない。</p>

<p>　最近、某自治体から見積りが適正かの相談があった。筆者との何回かのメールのやり取り後、他自治体と比較をしたら、約２倍の見積金額であることが判明した。自治体側の問題なのか、企業側が「足元を見た」のかは不明だが、自治体のICT費用の検証能力が試される出来事であった。</p>

<p><br />
<strong>電子政府を統括する大臣と担当局の必要性</strong></p>

<p>　事業仕分けに参加して痛切に感じたことの１つは、CIO、CIO補佐官が各省庁にしかいないということの問題だ。</p>

<p>　電子政府・電子自治体を推進する担当大臣をCIOとし、それを補佐する複数のCIO補佐官、CIO担当職員という体制を早急に作る必要がある。CIOやCIO補佐官が縦割り組織である省庁にしかいなければ、組織全体を見据えた総合的なICT推進はできないからだ。</p>

<p>　中央省庁については、現在のICT予算（約１兆円、<a href="http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/others/yosan.html">参照</a>）を全て担当大臣の下に集め、その管理下で予算執行を行う必要がある。統括的な仕組みを構築できなければ、電子政府・電子自治体の構築は中国、韓国など東南アジアの国々の「後塵（こうじん）を拝す」どころか、前を走る国々の「埃（ほこり）」さえも見えない状況であることを気づくべきであろう。</p>

<p>　例えば、現在、多くの省庁システムは全国規模で動いている。インターネット利用のものを除けば、個々のシステムで全国規模のネットワークを設置・運営しているのだ。民間企業であれば、企業全体あるいは企業グループで、北海道から九州・沖縄まで二重化（多重化）した基幹ネットワークを構築し、そこに各システムを接続する。</p>

<p>　また、国税データは各自治体が複写機でコピーしていたが、2011年1月からは各自治体にファイル送信できるようになった。セキュリティ上の問題があるとの指摘もあるが、暗号化ファイルを送信すれば問題はないはずだ。</p>

<p>　中央省庁と自治体や個人、企業などの間の情報交換も同じである。データ交換の仕組みを早急に構築すべきだ。手作業でのデータ入力や印刷物でしか相手に必要な情報を渡せないのでは、電子政府・電子自治体システムとは言えない。</p>

<p>　縦割り組織が問題なのではなく、そこにある課題を解決するための仕組みがないことが問題なのだ。</p>

<p>　横浜市は縦割り組織でのICT推進課題を解消するため、2007年9月にCIO（副市長）をトップとする「IT化推進本部」ができ、CIO、CIO補佐監、各局・区長代表ら10名で構成するIT化推進会議が全庁的なICT推進を行っている。</p>

<p>　CIOとしての電子政府・電子自治体の推進担当大臣、そしてCIO補佐官・担当職員によるCIO局を置き、全省庁のICT化推進を行うことにより、現在年間約１兆円の経費を２～３割削減することも可能ではないかと思っている。もちろん、単に経費の削減を行うのでなく、一部を効率的な電子政府・電子自治体のための再投資に回すことも必要だが。</p>

<p><br />
<strong>電子自治体とクラウド・コンピューティング</strong></p>

<p>　現在、全国に約1,700の自治体があるが、独自にICT化を推進できるは150前後と言われる。都道府県（47）、政令指定都市（18）、東京特別区（23）、法定人口30万人以上の中核都市（41）を合計すると129、さらに同20万人以上の特例市（41）を含めても170である。</p>

<p>　自治体でのICT処理は各自治体であまり大きな相違はない。約1500の自治体のICT化推進は単独でやる必要があるだろうか？　昨年度開催された経済産業省の「行政CIOフォーラム・CIO百人が考える電子政府研究会」の下部会議でも、「自治体の自治権と全国共通ICT化は、必ずしも反するものではない」との指摘があった。</p>

<p>　これについてはクラウドコンピューティングで可能ではないか、との声もある。だがクラウドコンピューティングについては、解決すべき課題がまだあると思われる。</p>

<p>　例えば昨年の定額給付金では、一部の自治体が海外のクラウドサービスを利用したが、住民の情報がどこで処理されたかは明らかではない。一般的に、クラウドコンピューティングには以下の様な問題があるとされる。</p>

<p>(1) システム関連の監査や事件発生時等の情報証拠取得ができない可能性が高い。<br />
(2) データ保管場所の問題： 法律は各国ごとに異なる。米国では愛国者法により法執行機関が情報を閲覧でき、欧州では「EC指令」で個人データ移動が制限される可能性がある。クラウドコンピューティングの企業ではないが、米国やスウェーデンで法執行機関が機器を押収した事件もある。<br />
(3) 多くの自治体業務を推進するためには、クラウドコンピューティングサービスを複数社で提供する必要があるが、相互互換性が確保されているか分からない。</p>

<p>　昨年、法執行機関に関係する国際会議（<a href="http://www.npa.go.jp/cyberpolice/english/IOCE2009/index-j.html">IOCE Annual Conference 2009</a>）で「南極条約／宇宙法」のような法体系をクラウドコンピューティングに関して作成することが大切ではないかと提案したが、そのような働きかけも必要であろう。</p>

<p>　また、多くの自治体の窓口は業務ごとに分かれている。窓口自体が縦割りになっていては、ICT化を推進してもワンストップサービスはできない。それを解決せず、クラウドコンピューティングをやっても意味はない。</p>

<p>　従来の政府・自治体のハコモノICT政策が単に「クラウドコンピューティング」という雲の中の言葉に変わっただけと感じるのは筆者だけだろうか。</p>

<p><br />
<strong>「新成長戦略（基本方針）」どう実現</strong></p>

<p>　昨年12月末に「<a href="http://www.kantei.go.jp/jp/sinseichousenryaku/">新成長戦略（基本方針）</a>」が閣議決定された。</p>

<p>　情報通信技術の活用という言葉はあちこちにあるが、残念ながら「IT立国・日本」は、29ページに及ぶ文書の中で、１ページにも満たない。具体案は別途公表されるだろうが、そこに盛り込まれた項目について、感じたことを述べてみたい。</p>

<p>(1)「国民の安心を確保」<br />
基本方針の中に「国民の安心を確保」というくだりがあるが、本来は「安全を確保し、国民が安心して」とすべきだろう。安全は客観的なものであり、安全の反対は「危険」、安心は主観的であり、安心の反対は「不安」である。安全でも不安を感じたり、反対に危険でも安心と思う人がいる。<br />
ただ、現実世界では100%の安全（絶対安全）は確保できない。関係者がどんなに努力しても絶対安全な環境は構築できない。昔より、現在のほうがより安全である、というような言い方はできるが。<br />
特に、新しい分野では「安全でも不安を感じる」人々が多くなる。東北大学未来科学技術共同研究センター「<a href="http://www.procom.niche.tohoku.ac.jp/index.php">組織マネジメントプロジェクト</a>」では、原子力などリスクのある先端技術について、ウェブでの解説や「対話フォーラム」を行っている。ICT分野も同じような対応が必要であろう。</p>

<p>(2)「行政手続の電子化・ワンストップ化」<br />
十数年前から言われているが、なかなか実現できない。電子政府、電子自治体ともに同じである。精力的に推進する組織がないからだ。電子化・ワンストップ化は縦割組織ごとの対応では困難だ。組織全体を総合的にみるCIO担当大臣やICT推進部門が必要で、政府・自治体全体を俯瞰して、電子化・ワンストップ化の青写真を作り、それを実現するための方策を考える必要がある。</p>

<p>(3)「協働教育」<br />
ポルトガルでは政府がパソコンを小中学生に配布しているという。一方、日本では携帯電話ですら学校への持込禁止通達を出している。10年後、彼我の差が歴然とするのは明らかであろう。「禁止すれば問題なし」の教育は1980年代の高校生に対する「オートバイの３ない運動」で明らかになったのでは？（80年代以降、高校生は「（免許を）取らない」「（オートバイを）買わない」「乗らない」という運動が全国的に広がった。神奈川県ではさらに「乗せてもらわない」「（保護者が）子供の要求に負けない」という「四＋一ない」運動を進めていたが、事故が減少せず、正しい乗り方や安全の教育を積極的に行う方針に転換した）</p>

<p>(4)「教育現場や医療現場などのサービスの質の改善や利便性の向上」<br />
教育現場では、単なるパソコン配布や技術支援でなく、共通テンプレートや副教材などを作成すると同時に、現場の課題を解決できる人材を育成し、送り込むことが必要だ。短期の技術支援者が学校を去ったところ、ICTモデル校のICTスキルがゼロに近くなったという話もあった。臨時職員がモデル校に赴任し、表面的な取りつくろいをして去ると言う「ハコモノ教育」がまかり通っていた。<br />
医療現場では、大手病院などのICT化が進展しているが、病院相互の運用互換性、データの互換性を考える必要がある。データの互換性がなければ、他病院での病歴を見ることも紙に頼らざるを得ない。また診療報酬データも病院、健康保険組合、厚労省等でデータ交換できる仕組みの構築が必要だ。</p>

<p>(5)「温室効果ガス排出量の削減」<br />
クラウドコンピューティング等の利用やコンピューター関連設備・機器、データセンター等の利用により、温室効果ガス排出量の削減に役立つがそれだけではない。<br />
横浜市では、プロジェクター等の利用により、半年間でA4用紙600万枚の削減、温室効果ガス５万トンの削減を行った。<br />
政府の審議会・研究会では、分厚い紙の資料を配付されるが、プロジェクターや構成員の手元にパソコンを置いて表示をすれば、大量の紙の削減ができる。　書込等が出来ないとのことであれば、タブレット型パソコンの利用で解決する。<br />
更に、海外では、既に議会のペーパーレス化が行われている。議員への配布資料は全てファイルで送付し、大量の用紙の削減を行っている都市もいくつかある。</p>

<p><br />
　「新成長戦略（基本方針）」は、今後どのように推進していくかが大切だ。各省庁に対応させるのでは、従来と何等変わらない。今やらなければならなのは、全体最適化を求め、ICT化を推進していくことであろう。</p>

<p>　ICTや情報セキュリティ関連で、大臣や政務官等から長期間指示がないため、動けない状況だという声も聞こえてくる。戦略だけでなく、日々の業務さえも放置している状況だとしたら、海外へのICT支援などおこがましいのではないだろうか。</p>

<table BGCOLOR="#FFFACD"><tr><td><p><B>＜筆者紹介＞内田勝也（うちだ・かつや）</b>情報セキュリティ大学院大学教授<br />電気通信大学経営工学科卒。中央大学理工学研究科博士課程修了。博士（工学）。オフコンディーラーにてシステム開発、ユーザー支援等を担当。在日外国銀行でシステム監査、ファームバンキング技術支援などを担当。大手損害保険会社にてコンピュータ包括保険導入プロジェクト、情報セキュリティー調査研究等に従事。中央大学
にて、「ネットワークセキュリティ」（修士課程）講師、情報セキュリティ人材育成プロジェクト推進、２１世紀ＣＯＥにて事業推進担当等。情報セキュリティ大学院大学にて、情報セキュリティマネジメントシステム、リスクマネジメント、セキュアシステム実習を講義。Computer Security Institute（CSI、本部：米国）会員、情報処理学会会員、ISMS審査登録機関 審査判定委員会委員長。2007年より、横浜市ＣＩＯ補佐監を務める。

<p>＜関連リンク＞<br />
内田氏のホームページ<br />
<a href="http://www2.gol.com/users/uchidak/">http://www2.gol.com/users/uchidak/</a><br />
　<br />
</p></td></tr></table></p>]]>
</content>
</entry>
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<title>「ネット時代のメディアとジャーナリズム」開催しました</title>
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<modified>2010-02-24T16:17:05Z</modified>
<issued>2010-02-24T16:10:02Z</issued>
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<summary type="text/plain">２月24日、オープンフォーラム「ネット時代のメディアとジャーナリズム」を開催しま...</summary>
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<![CDATA[<p>２月24日、オープンフォーラム「ネット時代のメディアとジャーナリズム」を開催しました。<br />
その模様を、新コミュニティー「日経メディア社会ネットワーク」のページでご紹介しております。<br />
　<br />
<a href="http://mediasociety.weblogs.jp/blog/2010/02/mediaforum.html">http://mediasociety.weblogs.jp/blog/2010/02/mediaforum.html</a></p>]]>

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<title>オープンフォーラム「ネット時代のメディアとジャーナリズム」ネット中継</title>
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<modified>2010-02-24T07:39:06Z</modified>
<issued>2010-02-23T15:45:48Z</issued>
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<summary type="text/plain">２月24日18時30分より、オープンフォーラム「ネット時代のメディアとジャーナリ...</summary>
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<name>NIKKEI</name>

<email>yuji.ichige@nex.nikkei.co.jp</email>
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<dc:subject>00800お知らせ</dc:subject>
<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://nikkeidigitalcore.jp/">
<![CDATA[<p>２月24日18時30分より、オープンフォーラム「ネット時代のメディアとジャーナリズム」をUSTREAMでネット中継予定です（プログラム下記エントリー参照）。どうぞご覧ください。<br />
　<br />
ＵＲＬ<br />
<a href="http://www.ustream.tv/channel/forum0224">http://www.ustream.tv/channel/forum0224</a><br />
　<br />
ハッシュタグ<br />
#mf224<br />
　<br />
※当日、ネット環境や機材トラブルなどにより、ネット中継を中断または中止することがあります。<br />
　悪しからず、ご了承くださいますようお願い申し上げます。<br />
</p>]]>

</content>
</entry>
<entry>
<title>オープンフォーラム「ネット時代のメディアとジャーナリズム」開催のご案内</title>
<link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2010/02/post_218.html" />
<modified>2010-02-23T03:54:22Z</modified>
<issued>2010-02-22T11:00:33Z</issued>
<id>tag:nikkeidigitalcore.jp,2010://1.738</id>
<created>2010-02-22T11:00:33Z</created>
<summary type="text/plain">日本経済新聞社は、ネット時代のメディアのかたち、ジャーナリズムの将来について議論...</summary>
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<name>NIKKEI</name>

<email>yuji.ichige@nex.nikkei.co.jp</email>
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<dc:subject>00800お知らせ</dc:subject>
<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://nikkeidigitalcore.jp/">
<![CDATA[<p>日本経済新聞社は、ネット時代のメディアのかたち、ジャーナリズムの将来について議論するフォーラムを２月24日に開催いたします。</p>

<p><font color="#FF0000">※定員に達しましたため、参加募集を締め切らせていただきました。<br />
　多数のご応募をいただき、誠にありがとうございました。<br />
　<br />
※パネリストが変更になりました。<br />
　<br />
※当日、ネット中継等の実施を予定しています。<br />
　開催当日、このウェブサイトにてご確認ください。<br />
　<a href="http://nikkeidigitalcore.jp/">http://nikkeidigitalcore.jp/</a><br />
</font><br />
　<br />
ネット社会において、今後求められるメディアとはどのようなものか。既存のマスメディアとソーシャルメディアはどのように連携、あるいは融合していくのか。メディアビジネスの新たな可能性は――。<br />
　<br />
今回のフォーラムではこれらの点について、ソーシャルメディア、マスメディア、ユーザーの垣根を越え、自由に討論することを目的に企画いたしました。ブログやＳＮＳ、「ツイッター」などで情報を発信しておられる方をはじめ、メディア関係者、あるいはこれからのメディアのあり方にご興味をお持ちの方々に積極的にご参加いただければ幸いです。<br />
　<br />
また当日は、主催者であります日本経済新聞社より、本テーマに関連する新サービスについてもご紹介させていただく予定です。<br />
　<br />
皆様のご参加を、心よりお待ち申し上げております。<br />
　<br />
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝<br />
オープンフォーラム<br />
　「ネット時代のメディアとジャーナリズム」<br />
　<br />
　<br />
【開催概要】<br />
　<br />
日　時　：　２月24日（水）　18:30～20:30<br />
　<br />
会　場　：　日経カンファレンスルーム（日本経済新聞社ビル６階）<br />
　　　　　　東京都千代田区大手町１－３－７<br />
　　　　　　<a href="http://www.nikkei-hall.com/access/index.html">http://www.nikkei-hall.com/access/index.html</a>　<br />
　　　　　　※日経ビルは2009年４月に上記の住所に移転いたしました。<br />
　　　　　　※経団連会館、ＪＡビル、日経ビルの３棟が並んでおり、<br />
　　　　　　　大手町駅方面から来ると一番奥が日経ビルです。<br />
　　　　　　　オフィス入口とは別に、日経ホール＆カンファレンスル<br />
　　　　　　　ーム専用のエレベーターがございますので、これを使い<br />
　　　　　　　６階までお上がりください。<br />
　<br />
主　催　：　日本経済新聞社<br />
　<br />
協　力　：　アジャイルメディア・ネットワーク、日経デジタルコア<br />
　<br />
定　員　：　80名<br />
　<br />
参加費　：　無料（事前登録制）<br />
　<br />
申込締切：　定員に達した時点で締め切りとさせていただきます。<br />
　<br />
　<br />
プログラム：<br />
　<br />
18:30～18:50　主催者あいさつ・日本経済新聞社新サービスのご紹介<br />
　<br />
18:50～20:25<br />
　パネルディスカッション「ネット時代のメディアとジャーナリズム」<br />
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　　パネリスト：<br />
　　高広伯彦氏　（スケダチ｜高広伯彦事務所／ブログ<a href="http://mediologic.typepad.jp/">「mediologic.com/weblog」</a>）<br />
　　津田大介氏　（メディアジャーナリスト）<br />
　　徳力基彦氏　（アジャイルメディア・ネットワーク社長）<br />
　　椿奈緒子氏　（cybozu.net ＣＥＯ／<a href="http://ameblo.jp/tryal/">ブログ「椿ブログ」</a>）<br />
　　藤代裕之氏　（ジャーナリスト／<a href="http://d.hatena.ne.jp/gatonews/">ブログ「ガ島通信」 </a>）<br />
　　（司会）日本経済新聞社　編集局産業部編集委員　小柳　建彦<br />
※当初ご出席予定でした古川享様は、都合によりご欠席となりました。<br />
　<br />
20:25～20:30　今後のイベント予定などについて<br />
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</content>
</entry>
<entry>
<title>新たな段階へ進むブック検索和解――日本版フェアユース論議への示唆</title>
<link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2010/02/post_220.html" />
<modified>2010-02-24T01:50:50Z</modified>
<issued>2010-02-22T01:20:46Z</issued>
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<created>2010-02-22T01:20:46Z</created>
<summary type="text/plain"> 　 　昨年、日本の出版界に黒船騒ぎをもたらした「グーグル・ブック検索」和解問題...</summary>
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<name>NIKKEI</name>

<email>yuji.ichige@nex.nikkei.co.jp</email>
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<dc:subject>00100ネット時評</dc:subject>
<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://nikkeidigitalcore.jp/">
<![CDATA[<p><img alt="kidokoro2009.jpg" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/kidokoro2009.jpg" width="100" height="130" /><br />
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　昨年、日本の出版界に黒船騒ぎをもたらした「グーグル・ブック検索」和解問題。08年10月に出された当初和解案に対して、09年9月までに全世界から400以上の異議申し立てや意見が裁判所に提出された。それらを反映して、11月に修正和解案が出され、対象著作物が、米国著作権局に登録された著作物および英国、カナダ、オーストラリアで出版された著作物に限定されたことにより、わが国の著作権者は対象外となった。これによって「黒船」は去った、一難去ってやれやれだという受け止め方もなくはないようだが、再び「鎖国」に戻るようでは、日本の将来は危うい。<br />
　<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p>　2月4日に提出された修正和解案に対する米国政府の見解（Statement of Interest）は、以前の本コラム<a href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2009/10/post_208.html">「グーグル和解問題に見る米国のしたたかな国家戦略」</a>でも紹介した米国政府のしたたかさを再認識させるものだった。修正和解案には依然として問題があるとしつつも、問題点さえ解決すれば、和解案がもたらす社会的便益は大きいとして、具体的解決策を提案し、合衆国が引き続き和解成立のために両当事者との協議を続行することを確約している。1週間後の2月11日、グーグルは政府見解が誤っていると反論した。そのしたたかさも米政府に劣らない。そこで、今回は官民あげてしたたかな米国に翻弄（ほんろう）されないために日本は何をすべきか考えてみたい。</p>

<p><br />
<strong>修正和解案に対する米国政府見解</strong></p>

<p>　4日の政府見解は最初に「修正和解案が権利者不明のいわゆる『孤児作品』問題について多くを解決する点については、政府は両当事者の努力を評価する。しかし、その価値ある目標にもかかわらず、合衆国は遺憾ながら、（孤児作品問題を解決するために）集団訴訟制度を修正和解案のように使用するのは行き過ぎである（a bridge too far）という結論に到達した。」と指摘。ついで、「以下の条件を付加することによって、承認できるような和解にすることは可能である。」として7項目の具体的な条件を提示した。最後に、「両当事者による賞讃に価する当初和解案改善の努力にもかかわらず、当初和解案に見られた問題点の多くは修正和解案にも残ったままである。合衆国は引き続き和解の範囲及び内容について両当事者との協議を続行することを約束する。」と結論づけた。</p>

<p>　未解決の問題が山積していると政府も指摘するだけあって、修正和解案に対しては、「化粧直しにすぎない」との酷評もある。2月18日の公聴会に裁判所は26名の証人を召喚したが、反対意見を述べる者が21名に対して賛成意見は5名と修正和解案に対しても依然として反対が多い。にもかかわらず、米政府が引き続き、和解成立に導こうと懸命なのは、以前の上記コラムでも指摘した90年代のIT革命の「夢よ再び」で、グーグルに米国経済復活の救世主になってほしいからである。</p>

<p>　1月末に発表されたオバマ大統領の一般教書は、雇用が2010年の一番の焦点であると指摘、5年間で米国の輸出を倍増させ、200万人の雇用を創出すると公約した。インターネットやオンラインサービスを含む通商関連サービスの輸出は、02年から05年にかけて全産業の中でも最も高い年率65％の成長率を達成した。リーマンショックからいち早く立ち直ったのもこの業界で、最新の09年10－12月期決算はグーグル、アマゾンとも大幅増収増益である。しかもグーグルは売上の53％、アマゾンも48%を海外から上げている。5年間で輸出を倍増させるための双発エンジンなのである。</p>

<p>　権利者を探す努力をすれば一定の条件のもとで孤児作品を利用しやすくするパブリック・ドメイン促進法案は、前議会までの3期6年にわたって提案されたが、毎回廃案となった。その間隙（かんげき）をついた和解案に対しては、司法（訴訟の和解）ではなく、立法で解決すべき問題であるとの批判も根強い。にもかかわらず09-10年の今議会で、上下両院ともまだ提案すらされてない。会期も後半に入った現時点でも提案されていないということは今議会での成立は望めそうもない。</p>

<p>　下院の司法委員会は09年9月10日に「デジタル書籍の流通と競争：グーグル和解案」についての公聴会を開催した。公聴会でゾー・ロフグレン議員（民主党）は、「議会はこの問題をもっと早く解決すべきだった。しかし、民間企業が何らかの解決策を見出しても驚くことはない」と述べた。和解が孤児作品問題を解決してくれるならそれでも構わないというわけである。裏にはグーグルが画期的なブック検索サービスを世界に広めて、外貨を稼いでほしいというしたたかな国家戦略が議会にもあることはいうまでもない。</p>

<p><br />
<strong>グーグルの反論</strong></p>

<p>　したたかさでは、グーグルも負けてはいない。米政府の贈ったエールに応えるどころか反論した。検閲問題やハッカー攻撃問題で中国政府と渡り合うほどのグーグルにしてみれば、驚くことではないのかもしれない。「著作権法の目的は表現物の創造と流通を促進することにある。修正和解案はこの目的を前進させるものである。」「行き過ぎではない。」「歴史上最大の図書館の門を開くものである。」「修正和解案の却下はその門を閉ざしてしまう。」などと反論、修正和解案の承認を裁判所に求めた。反論は法律論でなく政策論で、法律問題を裁く裁判所に政策判断を求めるのはお門違いではないかという印象も払拭できないが、2月18日の公正公聴会後に裁判所は、修正和解案を①承認する　②却下する　③再修正を命ずる　のいずれかの選択をすることになる。政府の見解を尊重すれば③だが、グーグルの反論により②の可能性も高まった。その場合、訴訟に戻ることになるが、グーグルはその覚悟で反論したからには訴訟を継続しても勝算ありと踏んでいるわけである。</p>

<p><br />
<strong>わが国への示唆</strong></p>

<p>　昨年10月の本コラムで、筆者は<a href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2009/10/post_209.html">「国家戦略の視点でフェアユース導入議論を」</a>と主張した。そのフェアユースが現在、文化審議会著作権分科会法制問題小委員会で議論されている。</p>

<p>　グーグルとともに「輸出倍増計画」の機関車の役割が期待されるアマゾンの好業績は、電子書籍端末「キンドル」の売行き好調が寄与している。電子書籍もかつて松下電器産業（現パナソニック）とソニーが日本国内で発売したが、売れ行き不振のため早々と撤退してしまった。専用端末の価格は、04年に発売した松下の「シグマブック」、ソニーの「リブリエ」とも、「キンドル」とあまり変わらなかったが、端末で読める書籍の数が桁違いだった。両社とも再販制度という著作権法以外の法制度の壁も加わって、コンテンツが伴わず、ユーザーにそっぽを向かれてしまったのだろう。キンドルの成功に勢いを得て、今年は「電子書籍元年」といわれるほど新規参入が相次いでいる。ブック検索サービスで書籍をデジタル化ずみのグーグル、iPad を売り出したアップルなども参入、こうしたグローバルプレーヤーが日本に進出してくるのは時間の問題と思われる。</p>

<p>　昨年末の本欄「グーグル問題が浮き彫りにした<a href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2009/12/post_213.html">「電子図書館後進国」日本」</a>で指摘したように、検索サービスや音楽ネット配信サービスに続いて、電子書籍も技術や構想は先行しながら、法制度の壁に阻まれてビジネスは米国勢に持っていかれる、いつか来た道を歩むわけである。この悪循環を断つにはグーグル和解問題に見る官民あげての米国のしたたかさに学ぶ以外ない。</p>

<p>　日本航空やゼネラル・モーターズに見られるように、改革を怠ったため経営破綻に陥る大企業は日米とも存在するが、それら恐竜企業に代わって経済を牽引するグーグルやアマゾンのような若きスーパースターが育たないのが日本の問題なのである。そうしたスーパースターは既存の業界（電子書籍で言えば出版業界）の外から参入してくる。経済発展のためには創造的破壊が不可欠であるが、既存の業界秩序を破壊するのは業界内からは難しい。その上、権利者寄りの著作権法に加えて、出版業界の場合は再販制度などの法制度の壁、天下りなどを通じた業界寄りの官庁の行政指導、業界の慣行などに守られて参入障壁の高い日本では、業界の外からの新規参入者による創造的破壊も難しいときている。</p>

<p>　確かに著作権法の目的は文化の振興にあり、産業育成ではない。しかし、文化振興の観点からも日本の書籍をデジタル化して世界に発信しないと、日本の文化が世界から取り残されてしまう恐れがある。これに脅威を抱いた欧州は、グーグルがブック検索構想を発表した1カ月後の05年1月にフランスのジャンヌネー国立図書館長が問題点を指摘、これに応えてシラク大統領が5カ国の首脳に呼びかけ、欧州委員会がデジタル・ライブラリー計画を策定、08年に欧州デジタル図書館（Europeana）を一般公開した。</p>

<p>　もともと、世界はパワーゲームだ。グローバル化はその傾向をますます強める。国も企業も守りに入らずに攻め込めるような法整備が必要である。2月18日に開催された法制問題小委員会で、日本版フェアユースは導入を前提に3月をめどに中間とりまとめを作成することが決まった。具体的な制度設計については今年秋をめどに議論していくことになったが、制度設計にあたっては、書籍デジタル化への対応、グーグルやアマゾンのように誕生後10年強で国の経済を牽引するまでに成長するベンチャー企業の育成など、国家戦略の視点に立った議論をすべきである。</p>

<table BGCOLOR="#FFFACD"><tr><td><p><B>＜筆者紹介＞城所　岩生（きどころ　いわお）<br>国際大学GLOCOM客員教授／米国弁護士</b><br>東京大学法学部卒、ニューヨーク大経営学修士・法学修士。1965 年ＮＴＴ入社、1986年から米国現地法人の幹部を歴任した後、1994年退社。米国弁護士 （ニューヨーク州・首都ワシントン）、成蹊大学法学部教授を経て、2009年から現職。専門は情報通信法、アメリカ法。著書：「米国通信戦争」（1996年、日刊工業新聞社）、「米国通信改革法解説」（2001年、木鐸社）ほか。</p></td></tr></table>]]>
</content>
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<title>動き出した新政権の情報通信政策・クラウド活用も重要課題に</title>
<link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2010/02/post_217.html" />
<modified>2010-02-15T12:48:05Z</modified>
<issued>2010-02-15T12:44:50Z</issued>
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<created>2010-02-15T12:44:50Z</created>
<summary type="text/plain"> 　 　昨年末の１２月３０日、政府は２０２０年を見据えた「新成長戦略」の基本方針...</summary>
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<name>NIKKEI</name>

<email>yuji.ichige@nex.nikkei.co.jp</email>
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<dc:subject>00100ネット時評</dc:subject>
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<![CDATA[<p><img alt="taniwaki2009.jpg" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/taniwaki2009.jpg" width="100" height="130" /><br />
　<br />
　昨年末の１２月３０日、政府は２０２０年を見据えた「新成長戦略」の基本方針を閣議決定した。この基本方針では、情報通信技術（ＩＣＴ）を「新たなイノベーションを生む基盤」と位置づけ、「情報通信技術の利活用による国民生活向上・国際競争力強化」の実現を目指すとしている。ＩＣＴは、新政権の成長戦略の中核に位置付けられようとしている。新政権下で具体化に向けて動き出した情報通信政策の方向性を整理してみたい。（本稿中意見にわたる部分は筆者の個人的見解です）<br />
　</p>]]>
<![CDATA[<p><strong>基本方針を示す原口ビジョン</strong></p>

<p>　政府の「新成長戦略」の基本方針が決定される１週間前の２２日、原口総務大臣は「ＩＣＴ維新ビジョン」と題する情報通信分野における「原口ビジョン」を発表した。このビジョンは、新政権下において初めて情報通信政策の大きな方向性を示したものと言える。</p>

<p>　そこでは、２０２０年頃を視野に入れた情報通信政策の達成目標として、「地域の絆（きずな）の再生」、「暮らしを守る雇用の創出」、「世界をリードする環境負荷軽減」の３つの柱を掲げている。</p>

<p>　そして、ＩＣＴの持つ力を最大限活用した地域再生を図りつつ、ＩＣＴを核とする新産業の育成や雇用の創出、ＩＣＴグリーンプロジェクトの推進による環境負荷の軽減や国際貢献を実現するという情報通信政策の基本方針が明確に示されている。以下、具体的な内容を見てみたい。</p>

<p><br />
<strong>ネットワーク整備からＩＣＴ の徹底利活用へ</strong></p>

<p>　第一に、原口ビジョンでは、ネットワーク整備からＩＣＴの利活用に政策の軸を移し、ＩＣＴを通じて人と人の「つながり力」を高め、地域の絆の再生を通じた地域活性化を実現することを目指している。政府は９０年代後半からブロードバンド基盤の整備を進めてきた。その結果、２０１０年度末を待たずに全国の「ブロードバンドゼロ地域」を解消する目途が立ちつつある。</p>

<p>　しかし、ＩＣＴの利活用は依然として進んでいない。ブロードバンド基盤という情報ハイウェーは整備できたが、その上を走る車の数が少ない状況と言える。</p>

<p>　原口ビジョンは、こうした状況を改善するため、ＩＣＴの徹底的な利活用を進め、その結果として、２０２０年の時点ですべての世帯でブロードバンドサービスを利用している環境を実現するとしている。</p>

<p>　今から１０年前、０１年１月に策定された最初のＩＣＴ国家戦略である「e-Japan戦略」では、「少なくとも３千万世帯が高速インターネット網に常時接続可能な環境の整備」を目指した。当時、その目標は達成困難とも思われたが、現在、ブロードバンド契約者数は３，０９３万加入（０９年６月）に達している。</p>

<p>　そこで、次なる目標として、国民のコミュニケーションの権利を保障する観点から、すべての国民（４，９００万世帯）がブロードバンドを利用している状況を実現し、ＩＣＴの真価を全ての国民が実感できるようにする必要がある。</p>

<p>　ＩＣＴの徹底的な利活用を進めるためには、ブロードバンドを介して提供されるサービスが、国民生活に不可欠で、使い勝手が良く、かつ利便性の高いものでなければならない。ところが、行政、医療、教育など、誰もが必要な公共サービス分野を中心に、ＩＣＴの利活用が立ち遅れている。例えば、行政サービスにおける電子申請は使い勝手が悪く、利用は低調だ。医療分野のレセプト（診療報酬明細書）のオンライン化も３０％に達していない。学校におけるＬＡＮの整備も６割強にとどまり、インターネットを活用した授業が行える環境が整っていない。</p>

<p>　このため、平成２２年度予算案では、ネットワーク基盤整備のためのＩＣＴ交付金約１００億円（平成２１年度予算ベース）について、ほぼ同額をＩＣＴの利活用を促す事業予算に振り替えているのが、一つの大きな特徴となっている。</p>

<p>　今年度二次補正予算や来年度予算案におけるＩＣＴ利活用事業では、新機軸も盛り込まれている。ＩＣＴ利活用事業の実施主体として、従来の地方自治体にとどまることなく、「新しい公共」の担い手として期待されるＮＰＯ法人なども対象として支援することとしている。</p>

<p>　その際、重要なのは「地域で自立するプロジェクト」を組成し、そのベストプラクティスの広域展開を促していくことにある。いわば、従来の「点」展開から、「面」展開へ比重を移していくことが重要だ。</p>

<p>　そのためには、単にハード機器を整備すれば足りるものではない。地域プロジェクトの自立を促すため、今回の施策では、ソフト面、特に人材育成に力点を置いている。原口ビジョンにおいても、地域プロジェクトを牽引する「ＩＣＴふるさとリーダー」を全国１万人育成するという施策が盛り込まれている。</p>

<p>　次世代を担う人材を育成する教育の分野も、ＩＣＴの徹底的な利活用を進めることが重要なテーマだ。</p>

<p>　教育でのＩＣＴ活用は、単にスペックの高い電子機器を導入すれば良いというものではない。使い勝手の良いタブレットPCを使ったデジタル教科書や、インタラクティブホワイトボードなどを使い、生徒同士が学び合い教えあう「協働教育」を実現するようなノウハウの蓄積と共有化が必要だ。教員のＩＣＴリテラシーの向上も不可欠と言える。</p>

<p>　このため、総務省は文部科学省と連携し、来年度から「協働教育」の実現に向けた「フューチャースクール事業」を推進することとしている。</p>

<p><br />
<strong>ＩＣＴによる新たな経済成長の実現</strong></p>

<p>　原口ビジョンの第二の柱は、現下の不況から我が国経済が脱却し、新たな成長軌道へとつなげていくため、ＩＣＴを経済再生の切り札として活用することにある。</p>

<p>　我が国のＧＤＰは、米国に次いで世界第２位（０６年）だが、２０５０年にはＢＲＩＣｓ諸国に抜かれ、世界第８位に転落するという予測もある（ゴールドマン・サックス社調べ）。こうした危機意識の下、原口ビジョンは、ＩＣＴ関連投資を２０２０年までに倍増させることにより、生産性の飛躍的な向上を実現し、同年以降、約３％の持続的経済成長を実現するとしている。</p>

<p>　現在、ＩＣＴ産業は経済全体の約１割の市場規模を占め、我が国の経済成長の約３分の１に寄与している戦略的産業だ。欧米やアジア各国でも、ＩＣＴ産業を戦略分野として位置付け、これを軸とした経済再生に取り組んでいる。</p>

<p>　昨年、日本経済研究センターが行った研究（主査：篠崎彰彦九州大学教授）によれば、ＩＣＴ関連投資比率を３ポイント向上させることなどを盛り込んだ「投資加速シナリオ」を採用することにより、潜在ＧＤＰ成長率は「基本予測」の０．５％から１．１％に上昇し、名目ＧＤＰ成長率は０．８％から２．１％まで上昇するという（数値はいずれも２０１１～２０２０年度平均）。ＩＣＴ関連投資を増加させることは、我が国経済の再生に不可欠の要素だ。</p>

<p>　しかし同時に、我が国の人口は２０５５年の時点で９千万人を割り込むと予想されている（国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」、０６年１２月）。その結果、我が国の国内市場は縮退を余儀なくされる。そうした中、日本のＩＣＴ関連投資の増加を通じた経済成長を実現していくためには、アジアの成長を取り込むなど、国際競争力の強化を同時に図っていく必要がある。</p>

<p>　このため、日本が強みを持つ新たな技術（Ｊ－ＩＣＴ）を生み出すための人材育成、海外研究機関との連携、地方に眠っているベンチャー発掘を含むデジタルネイティブの知恵の活用、関係業界が連携したグローバルコンソーシアムの組成などを推進していく必要がある。</p>

<p>　また、地方の文化、物産、観光資源などをデジタルコンテンツ化し、コンテンツ配信、海外観光客の誘致、地方物産のブランド力強化、対日理解の促進などをアジア各国をはじめグローバルに展開していくことも求められる。</p>

<p><br />
<strong>ＩＣＴグリーンプロジェクトの推進</strong></p>

<p>　第三の柱としては、ＩＣＴグリーンプロジェクトの推進、つまりＩＣＴを活用した環境負荷の軽減の実現が掲げられている。</p>

<p>　鳩山政権は、２０２０年時点でＣＯ２排出量を９０年比２５％削減することを目指している。今回の原口ビジョンでは、２５％という政府全体の削減目標のうち、１０％以上をＩＣＴパワーで実現するという目標を示している。</p>

<p>　米国では、昨年２月の「米国再生・再投資法」に基づき、スマートグリッド（次世代送電網）関連で総額１１０億ドルを連邦政府として拠出するなど、国を挙げてグリーン・ニューディールを推進すべく様々な取組みが進められている。</p>

<p>  ＩＣＴが環境負荷の軽減にもたらす効果については、ＥＵも注目している。欧州委員会は０９年３月、ＩＣＴを利用することによってＣＯ２排出量の１５％以上の削減が期待できるとの声明を発表した。さらに、同年１０月、ＩＣＴを使ったＣＯ２排出量削減効果の計測評価方式を２０１１年までに定めるとともに、ＩＣＴを用いたエネルギー効率向上施策の具体化を急ぐことを内容とする勧告が採択された。</p>

<p>　また韓国でも昨年５月、大統領直属の「グリーン成長委員会」が「グリーンＩＴ国家戦略」を発表し、テレワーク、遠隔医療、業務のペーパーレス化、建物内エネルギー管理システムの導入などを推進するとの方針を決定した。</p>

<p>　日本も手をこまねいている訳にはいかない。ＩＣＴを用いた環境負荷の軽減に向け、省エネ型データセンター構築の推進、トラフィック（情報流通量）に応じて最適経路を選択するエコインターネットの実現など、ＩＣＴ産業そのもののグリーン化(green of ICT)を推進する必要がある。加えて、自然再生エネルギーの「地産地消」の推進、スマートグリッドや次世代ＩＴＳの普及など、ＩＣＴを活用したグリーン化(green by ICT)も推進していく必要がある。</p>

<p><br />
<strong>クラウドサービスの普及促進も課題</strong></p>

<p>　ＩＣＴの徹底的な利活用を進めていくためには、クラウドコンピューティング技術を活用したサービス（クラウドサービス）の普及促進も大きな課題だ。我が国の世界最先端を行くブロードバンド基盤は、クラウドサービスの導入にとって最適な環境である。</p>

<p>　前述のとおり、我が国はＩＣＴの利活用は低調だが、クラウドサービスを導入すれば、低コストかつ短期間でＩＣＴ利活用の促進が可能となる。</p>

<p>　総務省では、０９年７月から「スマートクラウド研究会」において我が国のクラウド戦略の在り方について検討を進めてきた。政権交代に伴い、本研究会は総務副大臣主催の研究会として再スタートを切っている。そして、本研究会は、電子行政クラウドの推進、地方自治体におけるクラウドサービスの普及推進を含め、オール総務省としてのクラウド戦略を策定する場として位置付けられ、具体的な検討が進められている。</p>

<p>　２月１０日、このスマートクラウド研究会の<a href="http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02ryutsu02_000023.html">中間取りまとめ案「スマートクラウド戦略」</a>が公表されたが、そこではクラウド戦略の基本方針が示されている。すなわち、各企業が個別に保有しているコンピュータ資源をクラウドデータセンターに集約するという現世代のクラウドサービスの「次のステップ」として、企業、産業の枠を越え、膨大な情報・知識を収集・共有化し、これをリアルの世界のサービスの向上につなげる次世代のクラウドサービス「スマートクラウド」の実現を目指すことが提言されている。</p>

<p>　具体的には、行政、医療、教育、農林水産業など、ＩＣＴの利活用が立ち遅れている領域を中心にクラウドサービスの普及を図り、地域の活性化を実現するとしている。また、ＩＣＴを横串として、社会システム全体の情報流、交通流、金融流、エネルギー流を統合化するという観点でクラウドサービスを活用しつつ、スマートグリッド（メーター）、次世代ＩＴＳ、ＩＰｖ６ベースのセンサーネットワークの活用などについて「国家プロジェクト」として推進することが必要であるとしている。</p>

<p>　こうしたクラウドサービスを活用した社会インフラの高度化は、膨大なリアルタイムのストリームデータを収集・分析し、社会インフラの運用を効率化・高度化するものである。このため、こうした膨大なストリームデータを活用するための技術開発の他、クラウドサービスの安全性・信頼性の向上、環境負荷の軽減等を中心に、今後、重点的に技術開発を推進する必要があるとしている。</p>

<p>　この中間取りまとめ案については、現在、意見募集をしている（締め切りは３月９日）。</p>

<p><br />
<strong>ＩＣＴタスクフォースの設置</strong></p>

<p>　昨年１０月末、原口大臣のイニシアティブにより「グローバル時代におけるＩＣＴ政策に関するタスクフォース」が設置され、「過去の競争政策のレビュー」、「電気通信市場の環境変化への対応」、「ＩＣＴ産業全般の国際競争力強化」、「地球的課題等の解決への貢献」の４つのテーマを検討アジェンダとして設定し、各テーマごとに部会が設置され、精力的な議論が進められている。</p>

<p>　そして、これら４つの部会の上位に位置する「政策決定プラットフォーム」は、各部会の座長・座長代理と政務三役が参加して開催され、各部会間の連携を図る場として活用することになっている。</p>

<p>　この政策決定プラットフォームの第１回会合が、去る１月１９日に開催された。その中で、国際競争力強化の観点からは、ＩＣＴグリーンプロジェクトの推進、ＩＣＴによる鉄道、交通などの社会インフラ高度化プロジェクトのアジア展開を含む、合計７つの主要検討項目を整理した。</p>

<p>　また、地球的規模の課題解決の観点からは、誰にとっても使い勝手のよい「ユニバーサルＩＣＴ利活用モデル」の構築等に力点を置きながら、検討を深めることとしている。各部会において、原口ビジョンを基に今後さらに政策の肉付けが進んでいくだろう。</p>

<p>　政府全体としても、ＩＣＴ新戦略の策定に向けた動きが始まっている。２月３日には、政権交代以降初めてＩＴ戦略本部有識者会合が開催され、ＩＣＴ新戦略の検討に向けた検討が本格化している。今後、春に向けてＩＣＴ分野の国家戦略作りが進められていく。</p>

<p>　冒頭述べた「新成長戦略」についても、基本方針を踏まえ、現在「工程表」の策定が進められている。具体的には、今後、「２０１０年度中に実施する施策」、「今後４年以内（集中アクションプラン期間）に実施する施策」、さらに「２０２０年までに実施する施策」の３つのフェーズに分けて、新成長戦略の具体的なロードマップを描くこととなっている。</p>

<p>　原口ビジョンを核としつつ、前掲のタスクフォースにおける議論やＩＣＴ新戦略の策定などを通じ、政府全体としての「新成長戦略」の全体像が本年６月までに具体化されていくことになるだろう。</p>

<p><br />
<strong>政治主導によるＩＣＴ利活用の推進</strong></p>

<p>　地方で生み出された再生可能エネルギーをその地域で使う「地産地消型エネルギー社会」を実現することは、地域自らが自立し、地域主権を確立することにつながる。原口大臣はこうした取り組みを「緑の分権改革」と呼び、これを強力に推進していくとしている。</p>

<p>　地方において再生可能エネルギーの利用を推進していくためには、電力の相互融通などを可能にするスマートグリッドの実現、スマートメーターの普及、バイオマス（生物資源）や太陽光エネルギーの活用、電気自動車（EV）の導入との連携などが考えられ、関係する府省の数も多い。</p>

<p>　クラウドサービスの普及も同様だ。様々な分野でＩＣＴの利活用を進めていこうとすると、関係する府省の数も多く、制度的課題や一種の「抵抗」が生まれ、「ＩＣＴの潜在力を最大限活かす」という目指すべき方向に進めない可能性がある。新成長戦略にも盛り込まれたように、ＩＣＴの「利活用を促進するための規制・制度の見直しを行う」ことも重要な政策課題だ。</p>

<p>　民主党政権は政治主導を標榜し、政務三役が中心とした政策決定プロセスにより積極的な施策展開を図ろうとしている。政治主導によって関係府省の「壁」を打ち破り、新しい思い切った「国民本位」の施策展開が図られることが期待される。</p>

<p>　１月２９日、鳩山総理は施政方針演説の中で「地域主権の確立」を「鳩山内閣の改革の一丁目一番地」と位置付け、「情報通信技術の徹底的な利活用による『コンクリートの道』から『光の道』への発想転換を図り、新しい時代にふさわしい絆の再生や成長の基盤づくりに取り組む」と述べた。新政権の情報通信政策は急ピッチで動き始めている。</p>

<p><br />
<table BGCOLOR="#FFFACD"><tr><td><p><strong>＜筆者紹介＞谷脇　康彦(たにわき　やすひこ)<br />（総務省情報通信国際戦略局情報通信政策課長）<br /></strong>1984年郵政省（現総務省）に入る。OECD事務局ICCP（情報・コンピュータ・通信政策）課勤務等の後、郵政省電気通信事業部事業政策課補佐、郵政大臣秘書官、電気通信事業部調査官、在米日本大使館参事官、総合通信基盤局料金サービス課長、総合通信基盤局事業政策課長等を歴任。2008年7月より現職。主として通信放送分野の競争政策に携わってきている。<br />
著書に「世界一不思議な日本のケータイ」（インプレスＲ＆Ｄ、08年5月刊）、「インターネットは誰のものか――崩れ始めたネット世界の秩序」（日経ＢＰ社、07年7月刊）、「融合するネットワーク――インターネット大国アメリカは蘇るか」(かんき出版、05年9月刊)。</p></td></tr></table></p>]]>
</content>
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<title>ネットバブルから10年――成長のカギはモバイル・ソーシャル・リアルタイムへ</title>
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<modified>2010-02-03T01:29:39Z</modified>
<issued>2010-02-03T01:27:39Z</issued>
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<summary type="text/plain"> 　 　１月３日の「日経ヴェリタス」紙によれば、2010年の投資のカギは4つの「...</summary>
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<email>yuji.ichige@nex.nikkei.co.jp</email>
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<dc:subject>00100ネット時評</dc:subject>
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<![CDATA[<p><img alt="yukawa2.jpg" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/yukawa2.jpg" width="100" height="130" /><br />
　<br />
　１月３日の「日経ヴェリタス」紙によれば、2010年の投資のカギは4つの「E」とのことである。Emerging（新興国）、Eco･Energy（環境）、Elderly people（高齢者市場）、E-commerce（電子商取引）――こうしたキーワードに関連した事業が成長するとの見通しが示されていた。インターネットバブルからちょうど10年が経過しようとしているが、当時もE-commerceは大いに投資家に期待されていたことを思い出した。<br />
　<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p>　E-commerce企業の代表とも言える楽天の2000年度の売上高（連結）は32億円。これが直近の決算年度である2008年度には2,498億円と、80倍近くになっている。このことを考えると、株価はともかく、当時のインターネットビジネスに対する期待は必ずしもバブルだったとばかりも言えない。そして現在、更なる期待が集まっているのは、今度こそインターネットビジネス全体が成長するための基盤が整ったと考えられているためだろう。</p>

<p>　これまで、次々と生まれる新たな技術やサービスにうまく対処し、厳しい競争を生き残ってきたインターネット企業は確かな果実を手にしてきた。こうした技術やサービスの革新の速い世界で成長を続けるために、当面重要になるコンセプトや課題は何なのだろうか。昨年10月に参加した「Web2.0 Summit」から感じたことを中心に考えてみたい。</p>

<p><br />
<strong>“Web Squared”？</strong></p>

<p>　Web2.0 Summitは2004年に米技術系出版社、オライリー・メディアを率いるティム・オライリー氏が“Web2.0”という言葉を産み出して以降、毎年開催されており、最先端のインターネットビジネスを議論する場として定着した感がある。今年もチケットは完売し、注目度の高さを改めて示した。2009年に新たに発表されたコンセプトは“Web Squared（ウェブの二乗）”。インターネット世界の変化がリアルな世界をも変化させつつあり、その融合でさらに変化が加速していくことを象徴しているという。</p>

<p>　2匹目のドジョウをねらった、とも見られかねないが、このコンセプトは発表当初ネット上で話題を集めた。しかし、当時すでにインターネットビジネスのメインストリームとなりつつあった現象をとらえた“Web2.0”とは異なり、“Web Squared”は少し先の未来におけるビジネスを表現したものとも言える。あまりにも漠然としたこの言葉が当面の重要なコンセプトとなる可能性は低いだろう。</p>

<p><br />
<strong>「モバイル」、「ソーシャル」、「リアルタイム」</strong></p>

<p>　現在、シリコンバレーのベンチャーキャピタルは「モバイル」「ソーシャル」「リアルタイム」の３つのキーワードをゴールデントライアングルと呼ぶ。むしろこれらのコンセプトのほうが重要だ。実際、今回のサミットで語られたビジネスの多くは、これらの言葉で整理することができるものであった。</p>

<p>　「モバイル」とは、世界が本格的なモバイルインターネットの時代に突入することを指すものである。iPhoneの爆発的な普及をきっかけに広がったモバイルインターネットユーザーの増加により、SNS（ソーシャル・ネットワーキング・サービス）のようなプラットォームや、ECサイトはモバイル端末からのアクセスを主体に構築する必要を迫られつつある。</p>

<p>　モルガン・スタンレーのアナリストであり、毎年この会議でインターネットビジネスのトレンドに関する報告を行っているメアリー・ミーカー氏が、こうしたことを説明する際に、ミクシィや楽天のユーザーに占めるモバイル端末からのアクセス割合が増加していることを挙げたのは印象的だった。僕は2006年以降毎年このサミットに出席しているが、日本企業の事例が紹介されたのは初めだと思う。日本の携帯電話業界は「ガラパゴス」ともいわれるが、モバイル先進国であることは全世界で認めるところであり、その日本で培った技術やサービスのノウハウを日本企業は世界市場で大いに生かす機会が広がりつつある。</p>

<p>　「ソーシャル」とはユーザー参加型のインターネット世界の圧倒的な広がりを指す。“Web2.0”以降、順調に拡大を続けているソーシャルウェブの世界は依然としてその勢いを増しおり、米SNS大手フェースブックのような企業はインフラの拡張に余念がない。コミュニケーション要素の高い「ソーシャルゲーム」を手がける米Zingaのように、短期間で爆発的にユーザー数を獲得する企業も生まれている。</p>

<p>　「リアルタイム」は、主に「リアルタイム検索」を指すキーワードである。今回のサミットではマイクロソフトとグーグルが相次いでTwitter（ツイッター）との提携を発表し、それぞれの検索結果に最新のツイッター上の書き込みが含まれるようになったことを報告している。ツイッターというプラットフォームを実験台として、リアルタイム検索技術は進化しつつあるのだ。特にグーグルがすでにリアルタイム検索でも高い関連性を維持するための技術開発を行いつつあることは、最近複数のメディアで報じられている。</p>

<p>　<br />
<strong>今後の成長領域</strong></p>

<p>　今回のサミットで面白かったセッションの１つに“Humans As Sensors”と名づけられたものがあった。全世界で携帯電話は年間10億台以上販売される。これらの携帯電話は音声入力装置（マイク）、画像入力装置（カメラ）と共に、GPS（全地球測位システム）やインターネット接続機能を標準的に備えているため、理論的には人間自体が世界中に散らばった「センサー」として機能するというものである。このセッションでは、携帯端末を活用したAR（Augmented Reality:拡張現実。現実世界の映像に、各種の情報を重ね合わせて見せるような技術）関連のビジネスなどが紹介されたが、こうしたものも徐々に一般ユーザーに使われ始めている。こうしたビジネスが「モバイル」であるのはいうまでもないが、「ソーシャル」的な機能は当然のように実装されるケースが多く、「リアルタイム」性を備えるのも時間の問題だろう。</p>

<p>　ARに限ったことではないが、これらのコンセプトは相互に密接に関連しており、今後こうしたコンセプトの重なる領域に新しいインターネットビジネスの世界が広がると考えられる。<br />
　<br />
　昨年、あるインターネット企業の代表と会談した際、「インターネットビジネスはまだまだこれから。今はやっと夜が明けて朝食を食べたところで、この先には豪華なディナーも待っている」と話しておられた。</p>

<p>　確かに、ITビジネスの成長領域は完全にインターネット上でのサービスに移行したと考えていいだろう。例えば、昨今の流行語である「クラウドコンピューティング」は完全にインターネットビジネスであり、この言葉には真実味がこもっている。わが国のインターネット企業が、ここで挙げたようなコンセプトに対応できるビジネスを確立できれば、私たちは今度こそ、彼らが経済のけん引役となることを期待していいのではないだろうか。</p>

<p><br />
<table BGCOLOR="#FFFACD"><tr><td><p><strong>＜筆者紹介＞湯川　抗(ゆかわ　こう)<br />富士通総研　経済研究所主任研究員<br /></strong>1965年 東京都生まれ。1989年上智大学法学部卒。96年コロンビア大学大学院修了（MS）。2005年東京大学工学系研究科博士課程修了（Ph.D.)。現在、横浜市立大学国際文化学部非常勤講師。SBI大学院大学教授を兼任。専門はインターネットビジネスとベンチャー企業。【執筆活動】「<a href="http://www.nttpub.co.jp/vbook/list/detail/2184.html">進化するネットワーキング</a>」（2006年、共著）、「情報系マイクロビジネス」（2001年、共著）「クラスター戦略」（2002年、共著）など。</p></td></tr></table></p>]]>
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<title>デバイスはコンテンツを救うか――2010年、業界・政策はこう動く</title>
<link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2010/01/2010_1.html" />
<modified>2010-01-29T14:02:38Z</modified>
<issued>2010-01-29T13:56:21Z</issued>
<id>tag:nikkeidigitalcore.jp,2010://1.735</id>
<created>2010-01-29T13:56:21Z</created>
<summary type="text/plain"> 　 　このコラム執筆にあたり「今年のコンテンツ政策」というお題をいただきました...</summary>
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<email>yuji.ichige@nex.nikkei.co.jp</email>
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<![CDATA[<p><img alt="sakai2.jpg" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/sakai2.jpg" width="100" height="130" /><br />
　<br />
　このコラム執筆にあたり「今年のコンテンツ政策」というお題をいただきました。2009年の出来事や、関連産業の動向を振り返りつつ、2010年を展望してみたいと思います。<br />
　<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p><strong>■昨年ぼっ発した「書籍戦争」が決着？</strong></p>

<p>　2009年は電子書籍の年と言ってよかったでしょう。前にグーグル・ブック検索、後ろにアマゾンの電子書籍端末「キンドル」、横では国会図書館のデジタル化プロジェクトと、書籍の電子配信を巡る動きが一気に顕在化した年でした。2003年ぐらいの時期における、音楽配信の動きをほうふつとさせます。</p>

<p>　それにしても、グーグル・ブック検索とキンドルの動きは、出来すぎなくらいタイミングが合っていました。世界中がグーグルの「暴挙」に目を覚まされて、書籍のデジタル化を進め始めています。もちろん作ったデジタルデータはどこかで使わなければならないわけですが、そこにキンドルがやってきてビジネスへと引っ張り込む。大暴れする者と、手をさしのべる者。まるで「北風と太陽」のようだ、などと牧歌的に語っている場合ではありません。</p>

<p>　業界のうわさも含めてさまざまな見方がありますが、日本でも書籍のデジタル化は進むと思います。しかし、グーグル・ブック検索のように制度や裁判で一気に進むわけではなく、許諾ベースの積み重ねによることになるでしょうし、まずは新作から進めて、だんだん既存の作品に浸透していくような、ゆっくりとした動きになるでしょう。従って、ブック検索訴訟のようなスペクタクル感のあるニュースにはならないと思いますが、大手事業者の名前もある、それなりに迫力あるものにはなるでしょう。日本の書籍デジタル化の枠組みは2010年内に固まると見ています。</p>

<p><br />
<strong>■「電子幼年期」の終わり</strong></p>

<p>　書籍の電子化がキンドルで活気づいたのを始め、最近、デバイスが熱い。ここで「デバイス」というのは多機能ではあるけれど、プラットフォーム事業者の管理を受けて、勝手なソフトはインストールできなくなっているような「制限付きコンピュータ」のことです。今、世の注目を集めているiPhoneやアンドロイド端末も、アップルのタブレット型端末「iPad」も同じくデバイスです。昨今ブームのtwitterも、iPhoneや携帯電話からの書き込みが多いようで、その盛り上がりがよくわかります。その反面、パソコンがある意味でつまらなくなってきたと思います。Windows7商戦はあまり盛り上がらなかったという話も聞きました。そうです。おそらくユーザーはもうWindowsに関しては２世代前の「XP」と定番ソフトでかなり満足してしまっている。それがボチボチの速度で確実に動いてくれればいい、というぐらいの気持ちでユーザーはパソコンと向き合っているのです。</p>

<p>　もはやパソコンは、自らプログラムを作り、ハードを組むようなヘビーユーザーにしかアピールできない機械になったのかもしれません。さびしい限りですが、最近、秋葉原を見ているとそんな思いを強くします。</p>

<p>　しかし、これはIT/ICTがついに成熟してきたということなのだと思います。</p>

<p>　近年世に出てきたデバイスとパソコンの違いは、ユーザーによるソフトウエアのインストール制限の有無にあります。IT/ICTが何ものかわからないうちは制限のないパソコンが主流になり、次々と新しい機能が開発されてきました。人々が今、機能的により制限されたデバイスに移行しているということは、IT/ICTの使い方がだいたい分かってきて、むしろパソコンのマイナス面（持ち運びがしづらい、操作が煩雑、セキュリティーの問題、等々）が強く出てきたのでしょう。</p>

<p>　ここで、いわゆる「ムーアの法則（半導体の性能は、１年半で倍になる）」が、デバイスに有利に働くような気がします。小さなナイフを見て、これでは多くのことはできないな、と考え缶切りや栓抜きもできる十徳ナイフを買っていた人も、ナイフが素晴らしい切れ味の包丁になれば、大きくてやや不恰好になった十徳ナイフは捨てるでしょう。同じように、かつてはデバイスに不安を感じてパソコンを買っていた人も、ムーアの法則にしたがってデバイスの性能が向上すれば、面倒なパソコンを離れるかもしれません。いつも、何ものを犠牲にしても、最先端、最大限の性能のマシンを持っていたいというような人は、全体のごくごく一部でしかありません。</p>

<p>　結局、このパソコンからデバイスへというトレンドは戻らないわけです。</p>

<p><br />
<strong>■デバイスがコンテンツ産業を救う</strong></p>

<p>　このトレンドが、実はコンテンツ産業も救うことになる、と筆者は考えています。</p>

<p>　従来から携帯電話では有料ビジネスが成立するのに、パソコンではほとんど成立しないことは、経験則として産業界では広く認識されてきました。その傾向はiPodやiPhoneでも生きていて、そしてキンドルまでつながっていきます。</p>

<p>　なぜでしょうか？あくまで私見ですが、人は支払い行動においてそれと同等な何かと比較し、損得を考える動物だからだと筆者は考えています。消費者に受け入れてもらうには、同じ支払い行動でも、これまで無料だったものが有料になる、というのではなくて、以前から有料なものを以前より安く買う行為だと見せないといけない、ということです。筆者はこれを「支払いの文脈」と呼んでいます。パソコンではウェブブラウザーを通じ無料でネット上にあるコンテンツを使う、という体験が深く根付いているため、有料ビジネスをしようとするとこれが働いて、ユーザーの支払いストレスを倍増させるのではないでしょうか。</p>

<p>　言うまでもなく、産業活動が成立するためには、商品やサービスの対価としてお金が流れなくてはいけません。しかしパソコン、特にウェブブラウザーからは情報、サービスについて容易にお金を払ってもらえないわけです。ところが、上に紹介したようなデバイスであれば支払い行動が発生する。おまけに情報の不正な横流しや漏えいにも強い。コンテンツの価格を仮に従来のパッケージ流通版より大幅に安くしたとしても、単価あたりの取り分をそれなりに確保できれば、コンテンツ産業としては収益上問題がありません。それゆえ、利用専用機に近いデバイスへとコンテンツ産業は動いていくのです。</p>

<p><br />
<strong>■政策面での注目点</strong></p>

<p>　コンテンツ産業を巡る政策では、こうしたデバイスを通じたコンテンツの販売という形を次世代の基本形として位置づけて、促すことになるでしょう。</p>

<p>　もちろん、コンテンツ販売でなく広告費で支える形でいい、という見解もあるでしょうが、広告費の資金源は基本的にGDP（国内総生産）比で一定です。すでに広告費ビジネスが確立している分野に新たな広告モデルを持ち込んでも、単なるゼロサムゲームになるという理由で、一企業の戦略としてはさておき、産業全体の規模やGDPの拡大を目指す国の経済政策としては取り得ません。</p>

<p>　そういう意味では、今年はコンテンツ産業側が、新たな利用専用デバイスの出現による市場拡大の可能性を見越して、それを産業全体の利益として協力できるか、そこに出すコンテンツを準備できるかが焦点になります。ここに知的財産政策が絡む可能性があるかもしれません。現在、ACTA（模倣品・海賊版拡散防止条約）交渉の進捗を背景に、もっぱら知財の保護強化を求める声が高まっています。消費者の利便性とのバランスを考えなくてはならない国としては、保護の強化を行う必要条件として、その対象を、コンテンツ利用デバイスへの対応を含めた消費者への利用開放がなされたものに限定する可能性が強いからです。</p>

<p>　他方で、やや長期目線のコンテンツ産業政策としては、デジタル化トレンドが強くなる中で、収入パターンと業界構造が変わり始めることに対応し、人材の育成、活用、保持を企業レベルを超えてどう行うかが問題になるでしょう。この点では、Jリーグやプロ野球のような、スポーツ分野での取り組みが参考になるかもしれません。</p>

<p>　なお、これはコンテンツ分野に限ったことではありませんが、デバイス中心に業界構造が転換すると、事業者側の対応がこれまで以上に問題になってきます。例えば、消費者側での改変がやりにくくなることによって、IDやデータ、あるいは知的財産などを事業者が過度に囲い込むことは、消費者の利便性低下に直結するようになります。この視点から、IT/ICT産業全体の問題として、事業者間関係のあり方が論じられるでしょう。ちなみに、これは現在クラウドについて議論されていることでもあります（まぁ「パソコンからデバイスへ」と「クラウド化」は表裏一体なので、当たり前といえば当たり前ですが）。</p>

<p><br />
<strong>■技術面での注目点</strong></p>

<p>　最後に技術面ですが、筆者の関心は２つの点にしぼられています。</p>

<p>　１つはデータ表現形式の標準化の問題で、特に電子書籍と位置関連サービスに注目しています。中でも、電子書籍についてはマンガの表現形式の標準がどうなるかが重要で、デファクトスタンダードが民間ベースで速やかに決まるか、国がアシストする必要があるか、考えどころでしょう。それは位置関連サービスについても同じなのですが、電子書籍においてもキンドルほか複数の端末が市場に流通し、「iPad」のように新しいコンセプトのデバイスが続々登場してくるという状況では、デファクト設定者がはっきり見えない分、事業者間協議や国による制度・事業を通した誘導の必要度が大きいかもしれません。</p>

<p>　そして、もう１つがユーザーインタフェースの技術革新です。映画「アバター」のヒットや、国内ではCEATEC、海外ではCESといった見本市の動向から３Ｄ（三次元）への注目が高まっていますが、筆者は、そこにはあえて触れません。むしろ気になるのは、触覚関連技術です。iPhoneで飛躍的に広がった、タッチパネルを使い指で直感的に操作できるインタフェースや、現実の映像とデジタル情報を融合させる拡張現実（AR）技術で可能になる「仮想接触」など、ユーザーインタフェースの世界では「接触」が重要なキーワードになっています。「盛り上がるアイコン」や「空間キーボード」といった触覚創造技術はかなり重要度が増しています。このあたりはまだ政策的フォーカスが当たっていないところですが、今年は関心が高くなる可能性アリ、と踏んでいます。</p>

<p>　というわけで、いろいろ考えてみましたが、やはり今年は電子書籍、映像デバイス、位置関連サービスの３つに注目、というところでしょうか。それらの動きが明らかになる年、だと思いますし、そう期待したいと思います。今年もよろしくお願いします。<br />
（文中に述べた意見は筆者の個人的見解です）</p>

<table BGCOLOR="#FFFACD"><tr><td><p><strong>＜筆者紹介＞境　真良（さかい　まさよし）<br />経済産業省国際戦略情報分析官（情報産業）<br /></strong>1968年生まれ。高校時代はゲームデザイナー、ライターとしてコンピューター分野で活動。1993年東京大学法学部卒業。同年、通商産業省（現経済産業省）入省後、資源エネルギー庁、瀋陽総領事館大連事務所勤務後、経済産業省メディアコンテンツ課課長補佐、東京国際映画祭事務局長、経済産業省商務情報政策局プラットフォーム政策室課長補佐、早稲田大学大学院国際情報通信研究科客員助教授を経て、2009年7月から現職。専門分野はコンテンツ産業理論。特にアジアにおける日本文化の波及現象については20年以上現場を追っている。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター（GLOCOM）客員研究員。</a></p></td></tr></table>]]>
</content>
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<title>ビジネス活性化へ向け、ＩＤ管理の基盤整備を</title>
<link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2010/01/post_216.html" />
<modified>2010-01-20T09:36:23Z</modified>
<issued>2010-01-20T09:27:09Z</issued>
<id>tag:nikkeidigitalcore.jp,2010://1.734</id>
<created>2010-01-20T09:27:09Z</created>
<summary type="text/plain"> 　 　民主党政権になり、再び納税者番号制度の議論が始まっている。住基ネット導入...</summary>
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<name>NIKKEI</name>

<email>yuji.ichige@nex.nikkei.co.jp</email>
</author>
<dc:subject>00100ネット時評</dc:subject>
<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://nikkeidigitalcore.jp/">
<![CDATA[<p><img alt="fujimoto2.jpg" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/fujimoto2.jpg" width="100" height="130" /><br />
　<br />
　民主党政権になり、再び納税者番号制度の議論が始まっている。住基ネット導入の時も、個人を特定することが可能な番号管理については激しい議論が生まれた。特定個人がユニークな番号で管理されることに対し、抵抗感を示す人は依然として多い。<br />
　<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p>　また、個人情報保護法の施行後も企業からの個人情報流出事件は後を絶たず、個人情報を企業に預けることに対しても神経を使う人が生活者サイドに増えている。同時に、事業者サイドから見ると、現在の個人情報保護法はB2Cビジネスを行う事業者にとっては大きな対策コストを要求する。青少年の保護を目的とした制度への対応もあり、企業側の管理コストはますます増えていく傾向にある。</p>

<p>　B2Cのビジネスにおいては、免許証をコピーするなどの方法で顧客の本人確認や所在確認をしているサービスも少なくないが、そこには見ず知らずの店員に自分の免許証を開示しなければいけないというリスクもある。一方で、最近の若者は車に乗らない、海外旅行しないという傾向もあるので、免許証やパスポートも持っていない人も多く、自分を証明する手段自体が限られるという状況も生じている。</p>

<p><br />
<strong>新しい概念の個人情報</strong></p>

<p>　さらに技術革新や新しいサービスの普及による、新しい概念の「個人情報」も生まれつつある。「ライフログ」と呼ばれるものは住所、氏名といった静的な情報だけでなく、ネット上での行動情報（アクセスログ、日記、閲覧コンテンツ、購買行動など）を時系列で蓄積することで個人の生活の大部分を情報化して活用しようという発想だが、すでにネットサービスを中心にこのライフログが多くの事業者に貯まりはじめている。また携帯電話やスマートフォンの位置情報機能が手軽に使えるようになったことで、自分の居場所や移動履歴などを事業者や他のサービス利用者に伝えることも容易になった。そこで、場所の情報を活用した新しいサービスが多数生まれようとしている。</p>

<p>　デジタルコミュニケーションの発達により、これまで個人情報の中心的存在であった「氏名・住所・電話番号」といったデータを必要としないでビジネスを実現できるケースも増えてきた。ビジネスで個人を特定する「ID」と、実社会における「実名」とは必ずしもひもづける必要がなくなりつつある。</p>

<p>　Eコマースの世界ではメールが届き、決済と物流さえ機能すればビジネスは成り立つ。コンテンツビジネスであれば物流すらいらないので住所情報も必要としない。個人間でもそうしたケースが生まれている。例えばSNSの大手mixiでは日本郵政と組み年賀状サービスを展開しているが、これは年賀状を出す相手の住所を知らなくても紙の年賀状を相手に届けることができるサービスである。送る側は、mixi上で年賀状を送りたい人を選び、IDを指定。あとは年賀状を受ける側が自分の住所と本名をmixiに伝えれば年賀状を出すことができるのだ。</p>

<p><br />
<strong>行動マーケティングとマルチパーソナリティー化</strong></p>

<p>　このように、すでにネットサービスの中では「ハンドルネーム」のような「仮名」の利用が増えている。前述のmixiのように、仮名で知り合った人とは仮名のまま交流しても通常ほとんど問題がない。オフ会などで実際に合った場合ですら、実名を名乗らない人も存在する。特に女性などは実名と、それにひもづく住所、電話番号などはストーカー被害などを懸念して極力流通させたくないというニーズも強い。従来のマーケティングは個人の属性情報をなるべく詳細に知ることで，個人のニーズを推測するというアプローチが一般的であった。しかし、属性情報がなくても、行動情報さえ捕捉できれば、推測によって補わなくてはならない範囲は狭められる。今や30歳、男性、独身、東京在住、公務員という情報だけで分類しても、その人のライフスタイルを読み取ることは難しい。それより、年齢も性別も職業もわからないが、毎日商品にアクセスしてくる人と、ここ半年アクセスしてない人とで分けた方がより購買につながるマーケティングが可能になる。</p>

<p>　グーグルの急成長を支えたのは、「今その情報を知りたがっている人」を捕捉できる仕組みだ。その人に適切なタイミングで広告を出せることが何よりも大きな価値を生んだのである。こうした行動情報を管理する時には、ユニークなIDさえわかればよく、さらにそのIDの範囲は限定的でよい。現在のアマゾン・ドット・コムのサービスで弱点と思われるのが、一つのIDの購買履歴を全てのジャンルに活用し、「仕事」「趣味」「子供のために」といった目的の異なる行動データを全て同一人物のものと見なしてしまう点だ。このために、リコメンドされる商品が混乱してしまうことがある。一人の人間でも、その人の活動のシーン毎に、ニーズや価値観、金銭感覚といったパーソナリティーは変化するものだ。行動マーケティング的には、そうした特定のパーソナリティー単位で行動が捕捉できた方が、有効なマーケティングにつながる。</p>

<p>　今後、位置情報が行動情報に加わるのであれば、場所という概念も重要になる。例えば昼間新宿にショッピングに訪れた女性は、自分の行動情報を提供することで、買い物に役立つ、お得な情報が入手できるとなれば、時間と場所限定で情報提供を許可してくれるかも知れない。夜に歌舞伎町を歩いている男性であればなおさらのこと。だが自分好みのキャバクラを教えてくれるための行動情報は、次の日の昼間には消し去られていることを希望する人も多いに違いない。</p>

<p>　このように行動情報の活用は特定個人単位ではなく、あくまでもパーソナリティーと利用シーンによって範囲を限定できることが、事業者側にとっても利用者側にとっても望ましい。</p>

<p><br />
<strong>新しいＩＤ管理の枠組みが必要</strong></p>

<p>　このように多様なID管理のニーズが出てくる中、現在の仕組みのままでは個々の企業に対して膨大な負担をかけることになる。そのためIDの管理をレイヤー（階層）構造化したモデルに組み替え、レイヤー毎の管理レベルを変えることができれば、今後の全てのビジネスのベースになるぐらいの社会システムを構築できるのでは、と筆者は考えている。現在も「OpneID」のように事業者間の相互与信のような形でIDを運用するモデルもあるが、利用者が多数のIDを発行しないで済むというメリット以上のものを出せておらず、前述のようなニーズには対応できない。</p>

<p>　また知識経済とも言われる、これからの新しい社会構造の中では、金融資産と同じくらい知識情報も資産として捉える必要が出てくるのではないか。そうなると、知識情報に関する高度なサービスの恩恵を、ＩＴを使いこなせない人達も利用できるような枠組みが要になる。そこで、現在金融サービスにおいて、プロが一定の資格や制度のもとで資産を預かり運用する仕組みがあるように、個人の知識資産の管理を第三者に委ねる制度が必要になるのではないか。そこでは、自分の個人情報について、サービス毎の開示範囲の設定などを自分で行うか、第三者に委託するのかも選択できることが望ましい。</p>

<p>　以上のようなことをふまえ、筆者の考えるビジネスアーキテクチャーを提案したい。</p>

<p><br />
<strong>「個人情報信託管理制度」の提案</strong></p>

<p>　まず、本人確認の必要なレベルを担う事業者を「個人情報信託業」とし、IDの発行と他のサービスからの本人確認を担えるようにする。それ以外のサービス事業者は、この個人情報信託業者からIDを発行してもらい、それを利用するだけでビジネスができるようになれば、個人情報保護法の適用は除外され投資コストは少なくてすむようになる。IDとIDのひもづけは個人情報信託業しかできないため、サービス間での同一人物特定は利用者の許可がなければできない。利用者側も、自分の個人情報を明かさないで利用できるため、プライバシーに気を遣うようなサービス（ヘルスケアなど）のビジネス活性化が期待できる。</p>

<p>　個人情報信託業者は、エージェントサービスとして個人情報を第三者的な企業へ適切に開示することを代行したり、サポートするような新サービスを展開するチャンスを期待できる。</p>

<p>　個人がオープンに開示するであろうハンドルネーム、ニックネームなどはサービス事業者レベルで必要な範囲で運用すればよいだろう。</p>

<p>　この個人情報信託業に参入できる企業のイメージとしては、携帯電話などの通信事業者、クレジットカード事業者、大手ネットサービス事業者などが挙げられる。しかし、この事業の責任範囲は大きいため、許認可制度もしくはそれに近い高いハードルを設ける必要があるだろう。</p>

<p>　まずはこうした仕組みを先行してネットサービスで運用し、リアルなビジネスでも利用可能にしていけば、ビジネスの新しいイノベーションが期待できるのではないか。一般的になれば、公的サービスにも活用でき、納税者番号制度の議論にも一石を投じるはずだ。制度設計につながる議論が始まることを期待したい。</p>

<table BGCOLOR="#FFFACD"><tr><td><p><B>＜筆者紹介＞藤元　健太郎(ふじもと　けんたろう)
</b>D4DR社長<br />1993年からサイバービジネスの調査研究、コンサルティングに従事、日本初のビジネス実験モール「サイバービジネスパーク」のトータルプロデュースを行う。99年5月、8年間在籍した野村総合研究所を離れSIPSを手がけるフロントライン・ドット・ジェーピーの代表に就任。2002年にD4DRを設立し広くITによる社会システムや、ライフスタイル・企業戦略の変革のコンサルティングや調査研究・プロデュースを行っている。</p></td></tr></table>
]]>
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<title>2010年代は農のIT活用に期待――アグリ・インフォマティクスの可能性</title>
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<modified>2010-01-08T03:34:08Z</modified>
<issued>2010-01-08T03:30:04Z</issued>
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<summary type="text/plain"> 　 　あまり知られていないことだが、日本国内の農業生産性は非常に高く、単位面積...</summary>
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<name>NIKKEI</name>

<email>yuji.ichige@nex.nikkei.co.jp</email>
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<dc:subject>00100ネット時評</dc:subject>
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<![CDATA[<p><img alt="shinjo2010.jpg" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/shinjo2010.jpg" width="100" height="130" /><br />
　<br />
　あまり知られていないことだが、日本国内の農業生産性は非常に高く、単位面積あたりのカロリー量で比較すると米国の9倍程度と世界でも最高水準に位置している。高齢化や狭量な農地等の影響もあり、日本の食糧自給率は低水準を推移しているが、この高い生産性を生かす事は、農業分野のみならず、日本の国家戦略として非常に重要である。<br />
　<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p><strong>■匠の技を継承する日本農業</strong></p>

<p>　そもそも、米国と日本とで、なぜこれほど生産性が違うのだろうか。その答えは、作物の生育方法にある。作物の生育は、自然環境の影響を受ける。作物の生育状態と自然環境の状態に応じて、農家が農作業を実施する。その際に、適切な農作業を適切なタイミングで実施しなければいけない。農作業の内容やタイミングを誤れば、作物の生育に悪影響を与えてしまう。逆に、最も適切な農作業を適切なタイミングで実施すれば、多量の作物を生産できるのである。</p>

<p>　ただ、一口に「適切な」といっても、その実行は非常に難しい。同じ地域であっても、自然環境は毎年異なる。その変化を予測することも難しい。影響を受ける作物自身の状態は、毎年どころか日々異なっている。それゆえ、熟練した農家であっても、過去の成功体験をそのまま適用出来るわけではない。</p>

<p>　その時点において最も適切な農作業を実施しても、その後の自然環境の変化に応じて、更に異なる農作業が必要とされる事も多い。ビニールハウスなどの呼称で一般的によく知られている栽培施設を利用した作物栽培においても、外気の影響を完全に遮断できるわけではなく、日照不足を補えるわけでもない。あくまで、出来る範囲での農作業を通じ、自然環境からの影響を最大限に活用し、日々努力を重ねる事が求められていく。それゆえ、ただやみくもに経験を積み重ねても高い収穫量が得られるわけではない。名人あるいは匠とも呼ばれる、「適切な」農作業を実施できるいわゆる「篤農家」は、ほんの一部である。それはどこの国でも変わらないわけであるが、日本は、匠の技を尊び経験を積み重ねる文化の影響からか、篤農家を含めた農家全体の技術水準が諸外国と比較して優れているのである。</p>

<p>　しかし､その優れた技術水準は、崩壊の一歩手前という状況まで来ている。農業分野の高齢化傾向が著しい事は多くの方がご存じだろう。就農人口数を年代別に比較すると、75歳以上が最も多数を占める右肩上がりのグラフとなる。今後数年以内には、これら「匠の技」は失われ、日本の優れた農業技術は消えてしまう危険性がある。そうなれば、日本の食糧自給率向上が見込めないばかりか、将来的には食糧不足も懸念される事態となる。</p>

<p><br />
<strong>■従来型の取り組み</strong></p>

<p>　では、この事態を回避するためにどのような方策があるのか。以前から進められてきたのは大きく分けて二つの取り組みだ。まず一つは、新規就農者の増加である。それも、可能であれば、優れた知見を持つ篤農家へ弟子入りさせようというものだ。農林水産省や関連団体は様々な手法や機会を通じて、若年層はもとより定年退職者に至るまで様々な世代の方々に就農機会を提供している。私が所属する慶應義塾大学には、これらの機会を活用し、出身地域の農業団体で活躍する学生もいる。ただ残念なことに、まだ絶対数としては限られており、今後引退が見込まれる70代、80代の農家数と比較すればごくわずかに過ぎない。また現実には、自分の子供に後を継がせようとする農家が少ないことからも推察されるように、新規就農者の経営状況は非常に厳しい。多くの場合60代で退職することになるサラリーマンと比較し、熟練した農家は、ある程度の規模の農場を経営すれば70歳を超えても安定的に収入が得られる点が魅力であるものの、そこに至るまでの道筋は非常に険しい。初期の設備投資も必要であるし、新規就農から10年程度は、農業収入だけでは生活できないことも珍しくない。熟練した農家へ弟子入りし、長年の経験を経て農業生産技術を獲得するというのでは、これから生活を営もうとする若年層、退職後の安定的な生活を夢見る退職者層には、まだそれほど魅力的なものではないと考えられる。</p>

<p>　このため、ここ数年注目されてきたのは、もう一つの取り組みである植物工場である。すなわち、予測できない自然環境に頼らず、個々の作物に適した環境を人工的に構築し、安定的な作物栽培を実現しようという取り組みである。この取り組みの素晴らしい点は、篤農家に頼ることなく安定的な作物栽培の実現が可能である点と、早期に多数の地域へ展開できる点である。例えば、苗床での栽培から培地への定植、その後の栽培から収穫に至るまで、作物の個々の生育段階において、温湿度、あるいは日照量などが、どの値であればよいかのノウハウさえ把握しマニュアル化できれば、農家はそれに従って作業をすればよい。自動車や家電の製造ラインと同様に、マニュアルに基づいて作業をすれば、一定品質の製品（作物）が出来上がってくるのである。マニュアル化することで、日本企業の自動車や家電の製造工場が海外に拠点を設けるのと同じく、植物工場も様々な地域へ容易に展開できる。その土地本来の自然環境が気になるのであれば、土壌も水も運んでくればいい。そうすれば、場所性からも解放される。出来上がった作物の輸送手段を確保できれば農地の場所はどこでもいいことになるからだ。また作物の収穫時期も変更できるので、市場でその作物が不足する時期に収穫時期をずらす事で値崩れも防げる。まさに良いこと尽くしのように見えるが、設備費用が莫大な額に上るという欠点を持つ。太陽を含めた自然環境に頼らず、作物に適した環境を構築しなければならないということは、人間であれば冬場は厚着をして寒さに耐えるところを、厚着をしなくても耐えられる環境を用意するようなものだ。設備投資額は、おおよそ同じ敷地面積の一戸建ての建築費用の数倍程度、と非常に高額となる。生産規模が拡大すればコスト低減化も見込めるが、厳しい経済状況の影響もあり、着工数もごく限られている。横展開も含めた可能性としては非常に有望だが、現状ははかばかしいものではない。</p>

<p><br />
<strong>■アグリ・インフォマティクスの登場</strong></p>

<p>　そこで、この状況を打破しようと数年前から新たに試みられるようになったのが、IT、それも情報科学分野の研究を活用した取り組みである。私自身は、この取り組みを、前提となる知見の名前を用いて、農業情報科学（Agri-Informatics、アグリ・インフォマティクス　以下AI）と呼んでいる。</p>

<p>　前述のように、熟練した農家は作物の状態を見て、自然環境を肌で感じ、あるいはその他の様々な要素の影響を踏まえ、総合的に、「適切な」農作業を判断している。従来は、その農家自身に弟子入りして長年の経験を経て培う必要があったこの「判断」を、情報科学の研究成果を用いて解明し、多くの人が活用出来る状況にする事がAIの狙いである。すなわち、どのような自然環境の中で、どのように作物が育成され、その過程でどのような農作業がなされたのかといった情報を精緻（せいち）に把握し、相関関係を解明すると共に、その成果がより多くの農家の作業に役立てられていくようにするのである。従来は困難だったこの類の取り組みも、先端のITインフラと情報科学の手法を用いる事で、AIとして実現できるようになってきた。</p>

<p>　残念な事に、たとえ先端の研究成果であっても、AIを用いるだけで即座に熟練した農家と同じレベルになれるというものではない。熟練した農家の判断はそれほど難解なもので、コンピューターが今後さらに進歩したとしても、全ては解明できないだろう。ただ、そうした判断のごく一部だけでも利用する事が出来れば、誤った判断をする機会は大幅に低減させられる。また、自然環境に対応する術を身につける事で、自然からの影響をなるべく無視するというのではなく、自然からの影響を最大限受け入れつつ、悪影響となりそうな部分だけ排除するといった方向へとシフトできる。これは、自然からの影響を排除することに多大なコストや労力を費してきた植物工場の場合、施設全体としてのコスト低減効果は非常に大きなものとなる。</p>

<p>　AIの成果は、熟練した農家を不要にするというものではない。従来は10年、20年の経験が必要とされた、熟練した農家になるための最初の過程を、短縮しようというのだ。このことで、新規就農者は早期に安定的な収入を得ることが可能となる。多くの農家が抱える後継者問題への有効な解決策ともなろう。また、熟練した農家自身にとっても、自分たちの判断の基準を客観的にとらえるきっかけとなる。熟練した農家の判断を広く流通させることで、農業分野全体の活性化を促すことが期待できるのである。</p>

<p><br />
<strong>■実験を終え、次の段階へ</strong></p>

<p>　既にAIの取り組みは、実験的な段階を脱している。国内ではいくつかの大手企業が手がけており、慶應義塾大学としても、いくつかの大学と協力し、全国各地と連携して幅広い地域への展開を進めている。連携先には、既存の農業法人に加え、流通卸や小売業も含まれている。生産現場のみならず、食品流通全体と連携する事で、単なる生産性向上にとどまらない、サプライチェーン全体へと取り組みの輪が広がりつつある。その中で、消費者の「安全安心な生産物」といったニーズに応える新たなソリューションの創出も模索している。また、これらの連携を支える情報インフラとして、2009年後半以降、WiMAXやMobile端末の普及が急速に進んでおり、効果が期待できる。<br />
　<br />
　日本の人口が急激に減少していく一方で、世界人口は増え続け、2050年には85億人を超えるという予測もある。世界の農地面積増大は容易ではない事からも、近い将来、世界の多くの人々が飢えの危機に直面する確率が高まっている。限られた農地面積で最大限の収穫量を実現する日本の篤農家の知見は、この危機を回避する鍵であると共に、今後の日本の経済成長を促す重要な要素となり得る。篤農家の高齢化状況を踏まえると、残された時間は非常に限られている。私たち、そしてその次の世代の人々のためにも、2010年はAI分野のさらなる進展を期待したい。</p>

<table BGCOLOR="#FFFACD"><tr><td><p><strong>＜筆者紹介＞神成　淳司(しんじょう　あつし)<br />慶應義塾大学環境情報学部　専任講師<br /></strong>1996年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。2003年岐阜大学工学研究科博士課程修了。博士（工学）。96年よりIAMAS（国際情報科学芸術アカデミー）助手。同校講師を経て、2007年より慶應義塾大学環境情報学部専任講師。現在に至る。
この間、岐阜県情報技術顧問(2000年 -2006年)他を兼務。地方行政のIT化に携わると共に、現在に至るまで、第一次産業、第二次産業を中心に、様々な産業のITによる活性化に取り組んでいる。専門はコンピュータサイエンス（産業応用）。主な共著書に、「計算不可能性を設計する（ウェイツ刊）」など。</p></td></tr></table>
]]>
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<title>世の中の「システム」を疑え</title>
<link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2009/12/post_214.html" />
<modified>2009-12-28T08:53:41Z</modified>
<issued>2009-12-28T08:45:34Z</issued>
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<summary type="text/plain"> 　 　世の中はシステムの複合で成り立っている。民主主義、会社、家庭、学校…みん...</summary>
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<name>NIKKEI</name>

<email>yuji.ichige@nex.nikkei.co.jp</email>
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<dc:subject>00100ネット時評</dc:subject>
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<![CDATA[<p><img alt="tsubota2.jpg" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/tsubota2.jpg" width="100" height="130" /><br />
　<br />
　世の中はシステムの複合で成り立っている。民主主義、会社、家庭、学校…みんなシステムだ。しかし、旧来型のシステムが変容している中、人間はそのシステムに支配されていることにすら気付いていない。システムの「奴隷」であることに疑念も抱かず、奴隷であり続ける。人間とは結局、システムの奴隷なのか？そうは思いたくない。人間が主役であるために、システムは改革されるべきなのだ。<br />
　<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p><strong>３冊の共通テーマ</strong></p>

<p>　会社員として真面目に勤務するかたわら、自分の「思い」を世の中に投げかけようと、2009年９月に『2030年　メディアのかたち』を上梓した。ITに関わって約30年。自分が考え、実行してきたことのすべてを注ぎ込んだメディア論だ。</p>

<p>　さかのぼって1994年４月には『マルチメディア組織革命』を上梓した。これは電子メッセージが飛び交う時代には、組織はコマンド駆動型から、ビジョン駆動型に変わっていくだろうという予言で、世の中はその方向に動いている。これは組織論だった。</p>

<p>　2010年４月出版予定で、いま『さかさま思考で生きろ～実践・創造的サラリーマン術』（仮題）を書いている。15年間も好きなことだけをやってきた、超例外のサラリーマンだったことのヒミツを暴露しようというもの。いわば人間論。</p>

<p>　先日、ある人に「３冊の共通テーマは何ですか？」と聞かれた。一晩考えて、それは「システムへの疑念」であるという結論を得た。</p>

<p><br />
<strong>ピラミッド構造は永遠か？</strong></p>

<p>　最初の『マルチメディア組織革命』を書いたとき、「会社のビラミッド型構造（ヒエラルキー型ともいう）は永遠か？」というテーマに挑んだ。「飯を食わせてやるから、いうことを聞け」というとヤクザの親分のような言辞だが、基本的に会社組織はその相似形だ。</p>

<p>　会社に入ったのは、その会社を通じて自分のやりたいことをやるのが目的だからではないのか。だから、その会社の理念に共鳴するのが第一だ。会社の理念実現と、自分の社会貢献とをシンクロさせて、気合いの入った仲間とのチームワークで協働できたら、なんと素晴らしいか。</p>

<p>　パソコン通信でだれもが自由に情報を取れるようになることで、ピラミッド構造の条件である情報独占が崩れるとみた。私の見立ては狂っていなかった。情報独占型の企業は次々につぶれた。2006年には『ウィキノミクス』（ドン・タプスコット/アンソニー・D・ウィリアムズ著、日本語版は07年刊行）という本が出たが、そこで紹介されている会社は社外の知恵をネットワークで取り入れて成長している。当然のことだ。</p>

<p>　それでもまだピラミッド構造が大多数を占めているのは、人間の「他人を支配する欲望」によるものだと、私はみる。人間は他人に支配されたくないと思いながら、支配するポジションに就くとその快感におぼれてしまう。平社員が管理職になった時がそれだ。自分自身は経営陣に支配されているのに、部下を支配することで一種の自慰を行う。役員の前ではぺこぺこ、自分の課では机に脚を投げ出して…というような人はどの職場にもいるものだ。</p>

<p><br />
<strong>メディア企業は永遠か？</strong></p>

<p>　『2030年　メディアのかたち』のテーマは、「１対多」のマスメディア時代が逆転して、「多対１」のマイメディア、あるいはエージェント・メディアの時代が来るというもの。大新聞や民放キー局の独占的支配の構造の終焉（しゅうえん）を予言した。</p>

<p>　「情報はだれにも共通の価値がある」というのは、マスメディアが振りまいてきた虚像だ。情報は人によって必須ののものになったり雑音になったりするし、場所や時間によっても価値は変動する。「いま、ここで、私が」欲しい情報をピンポイントで届けるのがメディアの使命ではないか――1990年代の後半にこの構想にたどり着き、以来様々な検証をしてきて、この結論が完璧だと確信し、本にした。</p>

<p>　なぜ、マスメディアは恐竜のように肥大化したのか。ベースは技術的要件にある。大衆に情報を一度に伝達するには多額の資金が必要だ。高速輪転機、販売網、スタジオ、電波塔、そして電波の免許。それが、情報交換は基本的にタダというインターネットの登場で一気に不良資産になった。早く捨てなければ、会社ごと潰れてしまうかもしれない。</p>

<p>　ここへきて、ニュースを有料化するために、既存メディアがカルテルを結ぼうと真剣に語っている人たちがいる。「既得権益にメスを」などと報道しておいて、自分たちの既得権益を守ろうとする姿勢にあきれかえる。そんなことをすれば世論の猛反発を食らって、死期を早めるだけだ。</p>

<p>　既存メディアの衰亡の一方で、ネットジャーナリズムに様々なパターンが生まれ、戦国時代の様相を呈している。その中である種の標準を見つけたグループが浮上していくだろう。</p>

<p><br />
<strong>民主主義というシステムの黄昏</strong></p>

<p>　2009年は、戦後初めて本格的な政権交代が起こったことで、政治が復権したようにも思える。しかし、ドタバタだ。政権を取るためにばらまいた幻想と、不景気で税収不足という現実の狭間で、民主党はもがいている。</p>

<p>　「マニフェストを守る」という首相の言葉に、「誰もマニフェストを信じて投票したんじゃないよ。ただ自民党が賞味期限切れになったから」と多くの国民は思っているに違いない。</p>

<p>　12月７日に東京大学で開かれたウェブ学会（<a href="http://web-gakkai.org/">http://web-gakkai.org/</a>）のシンポジウムで、鈴木健氏が面白いアイデアを話した。</p>

<p>　彼は「１人１票」という現在の選挙制度に疑問を呈した。国際問題がX党のAさん、年金問題はY党のBさん…というように、自分の権利を10とか100とかに分割して投票すればいい。電子投票なら処理も簡単だ――というのだ。</p>

<p>　もう１人、研究仲間でもある濱野智史氏は「初音ミク、出馬せよ」と題して、議員が人間である必要はなく、バーチャルな存在で、その行動が完全に透明化される――という提案をした。</p>

<p>　一見「破天荒」と思われるアイデアだが、民主主義とは何かという本質的な問題に、この２つの提案は切り込んでいる。民主主義の根本は「民意の反映」なのだが、既存システムはそこにまやかしを持ち込んでいる。それが４年に１度の「一人一票」であり、議員という人格による背信だ。</p>

<p>　現行の選挙制度ではやっていけなくなり、やがて鈴木氏、濱野氏の提案のような改革で民主主義を延命させる方向に行くだろう。そうでなければ、暴動が起き、独裁者が登場するというとんでもない結末もありうると、私は恐れている。</p>

<p><br />
<strong>自律する個人の社会はありうるか？</strong></p>

<p>　人間の社会にとって最大のテーマは「自律する個人が構成する社会は実現するか？」だと思う。いまのところ、その実現性はかなり低いと思わざるを得ない。</p>

<p>　「人間はシステムの奴隷になることが好きだ」と言ってしまえるほど、妙にシステム依存の人が多い。その方が楽だからだ。「寄らば大樹の陰」はまさにそれ。「ゆでガエル現象」はそれへの警鐘だ。</p>

<p>　振り返って考えてみる。我々は何のために一生を持っているのかと。</p>

<p>　黙々と仕事をし、家族を養う人生。それも価値がある。しかし、もっと自由に、もっと楽しい人生を過ごしたくはないのか。また子孫にそういう世の中を残したくはないのか。</p>

<p>　いまは「格差社会」と言われる。格差の原因は何か。努力しない人がハンディを持つのは仕方がない（セーフティネットは必要だが）。しかし、努力が報われない社会は間違っている。ここにもシステムの欠陥がある。</p>

<p>　自律することはリスクを伴うし、厳しいことだ。しかし自律する仲間が助け合って、自由で楽しい世の中を作っていけないものか…そう考えてきたし、これからもそれを考えていきたい。</p>

<p>　その基盤として、いま我々は「インターネット」という財産を持っている。これがなければ、私が「システムへの疑念」を抱いたとしても、解決策を持たない絵空事のようなものだったろう。</p>

<p>　日本のインターネットの草分けである村井純氏が言うように、インターネットの基本理念は「自律・分散・協調」である。このインターネットの理念を社会の基本理念として新しい世の中を創って、それぞれの人が自己実現できる…そういう夢を追いかけたい。</p>

<p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　◇　　　　　　◇</p>

<p><strong>＜謝　辞＞</strong></p>

<p>　2009年末をもって、日本経済新聞社を定年退職します。記者として「サラリーマン」で菊池寛賞をグループ受賞したこと、AOLの日本法人設立に関わり日経ネットの収益基盤を作ったこと、その後「日経デジタルコア」「世界情報通信サミット」「日経地域情報化大賞」で、多くの方にご協力いただき、ICTの問題、地域の問題に幾ばくかのの貢献ができたことは、自分の誇りです。</p>

<p>　2010年は日経の後輩たちが「電子新聞」を立ち上げます。</p>

<p>　今後は慶應義塾大学で若い人とプロジェクトを進め、本当は会社で編集委員としてやりたかった執筆の仕事、地域メディアの活性化の活動、ジャーナリスト育成の活動などをやりつつ、趣味のバイクで日本一周、料理の腕も上げたいと思っています。</p>

<p>　今後の活動報告は以下のサイトで行います。</p>

<p>　ほんとうにありがとうございました。そしてもっと自分らしい人生への再出発です。</p>

<p>　<a href="http://www.heartiness.co.jp/freeagent/tsubota/">http://www.heartiness.co.jp/freeagent/tsubota/</a></p>

<table BGCOLOR="#FFFACD"><tr><td><p><B>＜筆者紹介＞坪田　知己(つぼた　ともみ)
</b>日本経済新聞社　日経メディアラボ　所長<br />1972年日本経済新聞社入社。大阪・経済部、社会部、名古屋・報道部、東京・産業部などで記者を務めるとともに、日経BP社「日経コンピュータ」副編集長も歴任。1994年以降、日本経済新聞社のインターネット事業戦略の立案に関わる。マルチメディア局企画開発部長、電子メディア局企画担当局次長を経て、2000年３月にデジタル関連の情報と人脈交流を目的とした日経デジタルコア事務局を設立し、同代表幹事に就任し現在に至る。2003年から慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授を兼任。2005年３月、「日経メディアラボ」の発足と同時に初代所長に就任。著作に「マルチメディア組織革命」（東急エージェンシー刊）、「大逆転！インターネット時代の仕事革命」（主婦と生活社共著）ほかがある。</p></td></tr></table>]]>
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<title>クラウド時代のインターネットを議論・国連IGFエジプト会議報告（下）</title>
<link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2009/12/igf_2.html" />
<modified>2009-12-22T01:40:42Z</modified>
<issued>2009-12-22T01:26:45Z</issued>
<id>tag:nikkeidigitalcore.jp,2009://1.731</id>
<created>2009-12-22T01:26:45Z</created>
<summary type="text/plain"> 　 　前回に引き続き、今年11月、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開かれた...</summary>
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<name>NIKKEI</name>

<email>yuji.ichige@nex.nikkei.co.jp</email>
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<dc:subject>00100ネット時評</dc:subject>
<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://nikkeidigitalcore.jp/">
<![CDATA[<p><img alt="kato.jpg" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/kato.jpg" width="100" height="130" /><br />
　<br />
　<a href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2009/12/igf_1.html">前回</a>に引き続き、今年11月、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開かれたインターネットの国際管理体制を話し合う国連主催の「インターネットガバナンスフォーラム（ＩＧＦ）」についてリポートする。<br />
　<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p><strong>ICANN・米国政府の関係変化と国際協調</strong></p>

<p>　前回述べたとおり、ICANNは2009年9月30日に、米国政府と「コミットメントの確認（Affirmation of Commitment）契約」を締結したと発表した。そもそもICANNが1998年に設立されるまでは、インターネットの管理権限は米国政府が保有していた。当時のクリントン民主党政権の自由化の思想に基づき、インターネットをより自由に民間の国際的な非営利組織に管理させるべきだとして、米国政府はICANNをスタートさせた。しかし、米国政府はICANNとの覚書の中で、インターネット管理に関する要望を定めており、その覚書の存在自体が米国主導のインターネットだという批判を生んでいた。覚書はこれまで7回更改されたが、今回の決定で終了した。一方ICANNは、「コミットメントの確認」という形でマルチステークホルダーによる民間の非営利団体としてのICANNを維持することを確約した。</p>

<p>　実は、これまでもICANNは、こうした自主的な宣言を行ってきている。そういう意味で、そもそも覚書には実質的意味は少なかったし、今回覚書が無くなり「コミットメントの確認」だけに置き換わっても大きな違いは無いと言える。しかし、ICANN設立から11年が経過し運営も安定したことから、米国政府が覚書をやめたことは、「成人として独立したICANNを認知した」ことを態度で示したという見方もできる。ICANNはITU（国際電気通信連合）を含む国連のさまざまな組織や、その他多くの国際機関のように、参加国間の条約や国家権力の下に成立するものではない。あくまで法的には、独立した民間の非営利団体の形である。インターネットにかかわる世界のいろいろな人々がボランティアベースで参加し運営する組織という考えであり、それに少しでも関与した人々にとっては、今回の「成人式」には感慨も大きいと思う。<br />
　<br />
　ICANN と米国政府の関係は、これですべて無くなった訳ではない。世界のアドレス配布の元締めという役割を果たすIANA（Internet Assigned Numbers Authority）はICANNの組織の一部であるが、IANA運営に関する米国政府との契約には、米国政府の管理権限が残っているという指摘があるからだ。IANAの契約では、各国のccTLD（国別コードトップレベルドメイン、例えばドットjp）の運用を各国の機関にICANNが再委任するにあたって、米国政府の承認を受ける必要がある。今回のエジプト会議でも、IANA契約が残っている限り、ICANNの米国政府からの独立は完全ではないというコメントがあった。現在のIANA契約は、2006年から5年を最長として毎年更新されているが、その動向は今後のIGFでの議論のひとつになろう。<br />
　<br />
　「コミットメントの確認」は、ICANNが「世界のインターネットユーザーに対するアカウンタビリティー（説明責任）や透明性、そしてユーザーの利益を確保する」ようコミットすることなど、ICANNの義務を記述すると共に、それを担保するために各種の「レビュー」を行うことを規定している。レビューは項目ごとに徹底して行われることとされており、その手続きや具体的なレビューメンバーの選定などについて、今後も議論が続くものと思われる。また、ICANNには各国政府代表が参加する政府諮問委員会（GAC)が存在するが、その権限はあくまでアドバイザーであり、監督、管理権限ではなかった。今回の米国政府との関係の変化においても、このGACの地位は変わらなかった。<br />
　<br />
　今回のIGF会議では、こうしたICANNの変化に対して、おおむね好意的であった。スウェーデン政府は、EUを代表してICANNの決定を歓迎すると表明、イタリアのGAC代表もこれに賛同してICANNのモデルは最良のものだと述べた。<br />
　<br />
　これまで国連の場では、ICANNに代わる国際的な政府機関がインターネットを管理するべきだと主張するものがあった。IGFスタートを決めた2005年の世界情報社会サミット・チュニス合意の中に、「拡大された協力体制」を意味する「エンハンスト・コーポレーション（以下EC）」という語句があり、これが新たな国際的管理の仕組みを意味するものだと主張する者もいた。今回のエジプトでは、そうした議論がかなり少なくなり、ECはまさに言葉通り、各国が協力してインターネットをより良くする「対話」を意味し、IGFはその役割を果たしてきたという指摘もあった。またECを実現するために、各国政府がICANNのGACに積極的に関与し、GACの運営が改善されたという指摘もあった。いずれにしても、ICANNイコール米国政府、従ってECの文言を通じて新たなインターネットの国際管理の仕組みを作るべきだという議論は、弱くなってきていると感じた。<br />
　<br />
　<br />
<strong>充実してきたワークショップやセミナー</strong><br />
　<br />
　メインセッションと並行してワークショップやセミナーが、同時に最大9つ、合計で90ほど行われたことは前回述べた。<br />
　<br />
　筆者も、民間主導で世界的なＩＴ普及の活動に取り組んでいる<a href="http://www.giic.org/">GIIC</a>（世界情報基盤委員会）と<a href="http://www.witsa.org/v2/index.htm">WITSA</a>（世界情報サービス産業機構）が共催した「世界的経済危機環境の中での、継続投資とデジタル成長の維持」と題したワークショップにパネリストとして参加した。現在のような未曾有の経済危機の下、途上国におけるIT投資の鈍化がより深刻となっており、情報の南北格差が広まりつつある。そこでこのワークショップでは、情報投資と有効な活用こそ経済危機を救うものだということを関係者が議論したものだ。</p>

<p><a href="http://nikkeidigitalcore.jp/images/photo03.html" onclick="window.open('http://nikkeidigitalcore.jp/images/photo03.html','popup','width=450,height=338,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/photo03-thumb.jpg" width="200" height="150" alt="" /></a><br />
<strong>＜GIICほか主催のワークショップで議論するパネリストたち＞</strong><br />
　<br />
　まず、OECD（経済協力開発機構）の情報経済グループ長であるグラハム・ビッカリー氏が、OECD各国のICT分野の政策の優先順位について比較分析した。同じOECD諸国でも、R&D投資を重視する国、イノベーション促進を強調する国、ベンチャー事業への融資を増やす国、インフラ整備を続ける国、というように差があるという指摘だった。財政規模が大きい日本の場合は、ICT戦略の違いによる効果の差もより大きくなるだろうと感じられた。<br />
　<br />
　筆者は、クラウドコンピューティングという新しい時代において、富士通がヒューマンセントリックな社会を目指してセンサー技術や新しいソリューションを研究、提供していることを紹介した。そのうえで、コンピューターのハードやソフト、そしてデータセンターも自分で保有する必要は無く、利用は自由にできるというクラウドの環境こそ、途上国にとって大きなチャンスを生むのではないかと指摘した。<br />
　<br />
　ケニアやインドの代表は途上国の状況や、政府と民間の更なる協力の重要性を述べた。例えばインドでは携帯電話の加入が爆発的に伸びているが、多くの端末は1台15ドル程度であり、98％の利用者はプリペイドの料金支払いを行っている。日本企業がグローバル市場で活躍するには、日本のビジネスモデルは通用しないことを常に痛感する。<br />
　<br />
　最後に米国国務省で国際情報通信政策を担当しているリチャード・ベアード氏が、4人の発言を引用しながら、各国の事情に合わせたICT戦略が重要なことを強調した。先進国ではICT技術の融合の結果、スマートフォンが生まれ、利用のシーンが拡大しているが、その一方でインドでは15ドルの携帯電話が普及しつつあり、ICT活用のシーンは全く異なる。当然ビジネス方法も変われば、政府の政策も変えていく必要がある、と指摘した。誰もが、ICT投資をうまく活用することによって、経済危機を救うことができるという意見で一致した。<br />
　<br />
　筆者が注目したワークショップに「クラウドコンピューティングがプライバシー問題に与える意味」と題したものがあった。米FTC（連邦取引委員会）のパメラ・ジョーンズ・ハーバー委員をはじめ、カウンシルオブヨーロッパのアレクサンダー・セーガー氏、オラクルのチーフ・プライバシー・オフィサーであるジョセフ・アラデフ副社長ら、この分野では世界的に見てもトップクラスの専門家が参加していた。<br />
　<br />
　クラウド時代になって、プライバシーの保護やセキュリティーがどうなるのかについて、漠然とした不安はあるものの、十分な検討が進んでいるのか、いささか疑問である。特に、日本で本格的な議論が行われているようには思えない。クラウドを利用する側からすると、どこから情報が来たのか、どうやって結果が得られたのか、そんなことは知る必要がないのかもしれないが、クラウド環境を利用することで何らかの権利を侵害し、他人に被害を与える結果になるとしたら大きな問題だ。同じように、知らないうちに自分のプライバシーが侵害されていたら、やはり大きな問題となる。さまざまな企業がオープンに利用できる、いわゆる「パブリッククラウド」の日本での普及はこれからだが、大事件が起こる前に議論を開始しておく必要があろう。<br />
　<br />
　特に法的に検討が必要となる分野は、一般消費者対一般消費者の責任関係が考えられる。クラウドの利用者は誰でも簡単に情報やサービスの提供者になれる。そこで事故や損害が発生した場合に、どうやって責任を分担するのかについて、過失の軽重を比較するという法的枠組みだけでは解決できないものがありそうだ。米FTCでは、この問題について公聴会を行うとのことであり、日本も国際的議論に入っていく必要がある。<br />
　<br />
　以上２つのワークショップの例を見ても分かる通り、IGFは、「ICANNによるインターネット管理問題」という当初の課題をはるかに越えて、インターネットから生まれる多くの問題を専門家が議論する場に変わりつつあることが実感できた。<br />
　<br />
　<br />
<strong>IGFは5年を越えて継続か</strong><br />
　<br />
　4回目を迎えた今年のIGFの大きな課題のひとつが、当初の5年間を越えてIGFを継続するかどうか、であった。IGFは国連が主催する会議であるから、IGFの将来をどうするかは、国連総会の決議事項である。このため、今回の会議の責任者である国連事務局の沙祖康次長が取りまとめて、来年早々にも提案書を作成する必要がある。4日間の会議の最終日には、これまでのIGFを評価し、将来を決めるためのセッションが設けられた。<br />
　<br />
　セッションは、事前に選ばれた47人の代表が各自3分間程度、意見表明する形で進められた。<br />
　<br />
　ボブ・カーンとビント・サーフという2人の「インターネットの父」が、IGFの意義をたたえた後、3番目にケニアの情報通信大臣が「2011年にはケニアでIGFを主催したい」と発言した。IGFは、来年9月に5回目の会議がリトアニアで行われることになっているが、その後も継続する前提で、開催を名乗り出るものが出てきた訳である。ケニアは、来年3月にICANNの総会も主催する予定であり、途上国代表としてインターネット政策にかける意気込みが感じられる。<br />
　<br />
　ほとんどの発表者がIGF継続を主張したのに対し、11番目に登壇した中国政府の代表は、「現在の形のIGFをさらに5年継続するのは賛成しないが、インターネット管理のあり方をECの脈絡で見直すために、さらに議論する場としてIGFを2，3年継続することを提案する」と述べた。後で発言したサウジアラビア政府代表は、IGFの役割を称えながらも、もっとECの議論をすべきことを主張した。</p>

<p><a href="http://nikkeidigitalcore.jp/images/photo04.html" onclick="window.open('http://nikkeidigitalcore.jp/images/photo04.html','popup','width=450,height=299,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/photo04-thumb.jpg" width="200" height="132" alt="" /></a><br />
<strong>＜IGFの評価を話し合うセッションでスピーチする筆者＞</strong></p>

<p>　筆者は、日本経団連を代表して、UNESCO（国連教育科学文化機関）に続いて14番目に発言した。「IGFはこれまでもマルチステークホルダーの議論の場として、素晴らしい成果を出しており、来年以降も継続すべきだ」と述べ、その理由として、「IGFで議論すべき新しい問題がどんどん発生している」ことを挙げた。具体的にクラウドコンピューティングを例に取り「プライバシーやセキュリティー、知的財産権の問題等がある」「クラウドへのアクセスの問題がさらに重要になる」ことを指摘し、「インターネットのスピードで進化する技術に対応して、IGFで新しい問題を議論していくべきだ」と結んだ。<br />
　<br />
　中国や一部の市民団体の懸念表明はあったものの、IGFを来年以降も継続すべきという意見は大勢を占めた。会議後公式に発表された議長サマリーによると、47人の内45人と、書面で意見表明した9人全員が、継続支持を表明したという。このことから、国連事務局がまとめる提案書も、おそらくIGF継続の線でまとめられるものと推測できる。今後の議論は、どういう形で継続して行くかという内容が焦点となるのではないか。例えば、現在まで事務局長として実質的に会議を運営してきたマーカス・クマー氏をはじめ、事務局体制とその予算をどうするか、筆者も4年間継続して参加してきた諮問委員会をどうするか、というような事務的な問題もある。来年2月には、ジュネーブで次の準備会合が開催されるが、その頃には、将来の方向性も少しは見えて来るかもしれない。<br />
　<br />
　1998年にICANNが誕生してから11年、2001年頃から国連でインターネット管理問題を議論すべきという声が聞こえ始めてからすでに8年が経過した。これから1年間、IGFの将来について国連がどう決定するかが注目される。今回のエジプト会議の様子を見る限り、民間主導でボランティア精神に基づいて進められてきた今のインターネットやICANNの仕組みは、国際社会にも受け入れられつつあるように思えてならない。</p>

<table BGCOLOR="#FFFACD"><tr><td><p><B>＜筆者紹介＞加藤　幹之(かとう・まさのぶ)</b>富士通研究所　常務取締役<br />1977年3月東京大学法学部卒業。同年4月富士通に入社し、海外関係の法務案件に従事。84年6月ミシガン大学ロースクール留学（法学修士）。87年7月サンフランシスコ駐在（法律事務所にて紛争処理担当）。89年8月からワシントンD.C.に駐在。02年6月、15年ぶりに帰国し、法務、知財部門を6年間担当。08年9月からシリコンバレーで米州ビジネスを担当し09年7月帰国、現職につく。富士通の中央研究所の役割を果たす富士通研究所に所属して、富士通グループの技術ロードマップ作成等を担当。ワシントン時代から継続して、インターネットや電子商取引、知的財産権、独禁法、科学技術政策等の制度議論に参加し、国際的に活動中。Internet Law & Policy Forum (ILPF)名誉会長や、Internet Corporation for Assigned Names and Numbers (ICANN)のアジア太平洋豪州地域代表理事等を歴任した。米国（ニューヨーク州、ワシントンD.C.)で弁護士資格を持ち、専門分野での論文や講演も多数。</p></td></tr></table>]]>
</content>
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<title>転換期迎えたインターネットの国際管理体制・国連IGFエジプト会議報告（上）</title>
<link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2009/12/igf_1.html" />
<modified>2009-12-14T05:31:40Z</modified>
<issued>2009-12-14T05:18:02Z</issued>
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<summary type="text/plain"> 　 　11月15日から18日まで、国連が主催しインターネットの管理のあり方を論...</summary>
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<name>NIKKEI</name>

<email>yuji.ichige@nex.nikkei.co.jp</email>
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<dc:subject>00100ネット時評</dc:subject>
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<![CDATA[<p><img alt="kato.jpg" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/kato.jpg" width="100" height="130" /><br />
　<br />
　11月15日から18日まで、国連が主催しインターネットの管理のあり方を論じる国際会議「インターネットガバナンスフォーラム（IGF）」が、エジプトのシャルム･エル･シェイクで開かれた。現在、インターネットの国際管理体制はひとつの転換期にあるとも言える。それを象徴する光景が垣間見られたこの会議の模様を、２回にわたりリポートしたい。<br />
　<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p>　第一回のアテネから4度目となる今年の会議では（過去のＩＧＦやインターネット管理問題については、以前<a href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/00100/01150/">本欄で報告した記事</a>を参照いただきたい）、直前にICANN（The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers、ＩＰアドレスやドメイン名などを管理している非営利法人）が米国商務省との覚書（MOU）を解消し、より独立した国際組織となることが発表されたこともあり、米国主導と言われてきたインターネットの国際的管理の行方が興味の的となった。一方、IPv4資源の枯渇問題とv6への移行、「ドット日本」のようなトップレベルドメイン名（TLD）の国際化の早期実現、新たなTLDの登録制度等、実務的な課題も存在した。また、当初5年間という時限的な取り組みとして開始したIGF会議自体を来年以降どうするのか、もしIGF会議をこれで終わりとするなら、インターネットの国際管理について今後どういう枠組みの議論を行うのか、政治的な決定を行う期限も迫っていた。</p>

<p><a href="http://nikkeidigitalcore.jp/images/image01.jpg"><img alt="image01.jpg" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/image01-thumb.jpg" width="200" height="150" /></a><br />
<strong>＜国際会議場の正面入り口。ホテル群を抱える巨大な施設で、中東諸国の多くの国際会議を開催している＞</strong></p>

<p>　会議が行われたシャルム･エル･シェイクは、シナイ半島の南端にある温暖なリゾート地である。巨大な国際会議場周辺には、欧米風のリゾートホテルが立ち並ぶ。シナイ半島の北東部に位置するパレスチナでは紛争が続いており、会議場でも警戒は厳しかったが、治安上の不安は感じなかった。昨年のインド・ハイデラバードIGF会議では、直前にムンバイで爆破テロがあり、筆者を含め参加を断念した人があったのとは違い、平穏な4日間であった。地元のエジプト政府は、タレク・カメル情報通信大臣が4日間ほとんど会議に参加したのを始め、ムバラク大統領夫人やナジフ首相も演説し、国家的に会議を支援した。会議にはメディアの120人を含め、112カ国から約1800人が参加した。</p>

<p>　今年の会議の特色は、多くの国や組織の代表がIGFの活動を評価し、来年以降の継続を要望したこと、米国主導という批判の強かったICANNへの風当たりが弱まったこと、これまでIGF参加には消極的とも言える対応を見せていた米国政府が、支持の立場をより鮮明にしたことなどだ。昨年まで、米国政府の代表として会議に参加していたデビッド・グロス氏（元国務省国際通信情報政策コーディネーター・大使。現在はワシントンの弁護士事務所所属）は、「これまでのIGF会議の中で最高」と賞賛した。</p>

<p><img alt="image02.gif" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/image02.gif" width="350" height="460" /></p>

<p><br />
<strong>IGF支持が相次いだオープニングスピーチ</strong></p>

<p>　会議初日は、午前中からIGF会議の背景や概要の説明で始まった。同時に、9つのワークショップやセミナーもスタートした。会議の4日間、メインセッションと並行して、合計90ほどの別会議が、様々な国や団体の主催で行われたのだが、これもＩＧＦ会議の特徴である。IGFという対話の場を通じて、NPOを始め多くのボランティアグループがイベントを主催し、その中から「ダイナミック・コアリション」と呼ばれる具体的な提言を行うグループが生まれて来たことは、大きな成果と言えよう。</p>

<p><img alt="image03.gif" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/image03.gif" width="350" height="240" /></p>

<p>　初日の午後は、政府や国際機関等の幹部らによるスピーチが行われた。<br />
　<br />
　最初にあいさつした国連事務局の沙祖康次長は、IGFに価値があるか？改善の余地があるか？目的を達成したか？について意見が聞きたいと問いかけた。後に述べるが、4日間の会議のいろいろな局面で、政府、民間、市民団体を含む広いステークホルダー（利害関係者）の議論の場としてのIGFの役割が大きな議題の一つとなった。<br />
　<br />
　続いてエジプトのカメル大臣は、エジプトがインターネットや情報通信分野に力を入れていることを紹介した後、ドメイン名の国際化に触れ「インターネットがアラビア語をしゃべることができるようになる」と述べると、会場からは大きな拍手が起こった。<br />
　<br />
　これまでICANN主導のインターネット管理に強い反発を示して来たITU（国際電気通信連合）にも変化が見られた。例年、名指しでICANNを批判してきたハマドゥーン・トゥーレ事務総局長は、ICANNが米国政府とのこれまでの覚書を終了し、新しく「コミットメントの確認（Affirmation of Commitment）<a href="http://www.icann.org/ja/announcements/announcement-30sep09-ja.htm">契約を結んだ</a>ことを歓迎」し、6月からICANN事務局のCEOに選任されたロッド・ベクストロム氏をお祝いすると述べた。会議3日目の午後、ITU電気通信開発部門のトップであるエル・バシーア氏は、さらに踏み込んで「我々はICANNと、とても良い関係にあり、おこりうるすべての誤解を過去のものとするための覚書を結ぶべく作業している」とも述べている。<br />
　<br />
　開会のあいさつでは、参加各国からIGFへの賛辞も続いた。EUの情報社会・メディア担当のビビアン・レディング委員が「IGFは（来年以降も）継続するべきである」と口火を切ると、ブラジルの科学技術副大臣や、フランスの外務大臣も、議論の場としてのIGFを評価し、今後の継続を訴えた。米国国務省のヴェルヴィエール大使も短い挨拶の中で、「IGFは間違いなく成功であることから考えると、IGFは将来も継続されるべきというEUやブラジルの友人たちの意見に、米国は心をこめて同調するものである」と述べた。IGFの成功と、今後の継続は、初日から大きな流れとなったように感じた。<br />
　<br />
　初日のあいさつは、非政府部門からも行われた。ワールド・ワイド・ウェブ（WWW)の父として知られるティム・バーナーズ・リー氏は、インターネットが1969年に最初にパケットを送信してから20年後の1989年にHTMLプロトコルを提案した経緯を説明した。彼は「ウェブにとって最も重要なことは、それがユニバーサルなものであることだ」とし、ウェブは常にひとつでなくてはならないと強調した。彼は、その後1994年にウェブの発展のためにWWWコンソーシアムを作ったことにも触れ、ロイヤリティーを払わない形で標準化が進むことが重要だと主張した。そして最後に、ウェブはひとつであるべきだという彼の思いを実現するために、WWWファンドが本日（この発言の当日）スタートしたと発表した。</p>

<p>　企業からは、ヤフーの創始者であるジェリー・ヤン氏が登壇し、インターネット発展の重要性を訴えた。彼は、インターネット利用人口が10％増えると、経済が1.3％成長することを指摘した。またインドのＩＴ企業タタ・コンサルタンシー・サービシズのラマドライ副会長は、インド内陸の貧しい農村を例にインターネットの貢献を説明した。その農村では作物が取れず農民が自殺にまで追い込まれるような窮状だったが、情報キオスクを設置し、天候や農作業の効率化についての情報を提供するようにしたところ、収穫高が向上し生活が改善したのだという。</p>

<p><br />
<strong>IPv6、新TLD、国際化ドメイン名</strong><br />
　<br />
　2日目午前は、重要なインターネット資源をどう管理するかという、IGFとして最も政治的な問題が議論された。議論は、各テーマについて最初の5分間だけ専門家が背景を説明した後、会場の聴衆やネット参加者が遠隔地から自由に議論する形が取られた。</p>

<p><a href="http://nikkeidigitalcore.jp/images/image04.jpg"><img alt="image04.jpg" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/image04-thumb.jpg" width="200" height="150" /></a><br />
<strong>＜1000人以上を収容できるメイン会議場。両側のスクリーンには、発言内容を同時通訳し英語で表示する。メインスクリーンの一部には手話も表示＞</strong></p>

<p>　ネット会議と言うと、昨年筆者は、テロの余波でインド出張を断念し、ネットで4日間の会議に参加したことを思い出した。今年もネットで画像や発言字幕の配信が行われ、世界の関係者から意見が寄せられたが、やはり会場で直接触れる臨場感には、ネットとはかなりの差があった。また、通訳の数等の理由で、ネット中継や、英語の字幕の同時中継がメインセッションに限られたことも、現在のネット会議の限界を示している。<br />
　<br />
　最初は、v6への移行問題について、アジア太平洋地区のＩＰアドレス配布を担当するAPNICから、ポール・ウイルソン氏が現状を説明した。彼によると、v6への移行は進んでいるが、スピードはゆっくりであり、今は全トラフィックの１％足らずしかv6が使われていないとのことだった。彼は、v6に移行するかどうかは、産業界が資源を投入するかどうかによるところが大きいと述べ、今は経済的判断で十分な投資がなされていないが、2年後に（v4資源が枯渇して来ると）v6が本当に必要となってくるのであり、今から計画することが重要だと指摘した。「本当にv6への移行が必要となるのは、5、6年後ではないのか」という司会の質問に対してウイルソン氏は、「2年後にはv4アドレスの新規割当はできなくなるので、今から計画することが必要」と答えた（参考：ICANNのベクストロムCEOは<a href="http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=AT1D220AW%2022102009">今年10月に来日した際の会見</a>で「v4アドレス割り当ては2010年10月まで」と話している。v6への移行については、日本政府やエジプト政府からも教育等の取り組みを行っているという発言があったが、特に途上国から、v6への移行が遅れることにより、インターネットの利用がさらに遅れるという懸念が表明された。<br />
　<br />
　非常に印象的だったことは、ICANNのベクストロムCEOが、「インターネットの父」とも呼ばれ、ICANNの前会長だったビント・サーフ博士と最近話した内容を紹介した一幕だ。サーフ氏も、v6への移行が遅々として進まないことを懸念しており「政府が古いv4のシステムをv6に移行するためのインセンティブを作るべきだ」と述べたという。「国ごとに違って良いが、例えば税額控除であっても良いし、補助金やその他の補てんでも良い」とベクストロム氏は述べた。日本は、かってv6の技術面では進んでいた時期があったが、今でも普及は進んでいない。短期的な経済原理だけでこの問題をとらえて良いのか？むしろ早期実現によってビジネスチャンスが増えるようなことはないのか？専門家のさらなる検討を期待したい。<br />
　<br />
　新しいTLD（手続きを経れば自由にＴＬＤを作れる、いわゆるＴＬＤ一般化）や国際化ドメイン名の採用については、ICANNで手続きが進行していることから、目立った議論は無かった。しかし、一度に多くのTLDを作ることになっても良いのか？特に技術的な面で、インターネットのルートシステムへの影響が無いのか？との指摘も多かった。<br />
　<br />
　アラビア語圏で行われた会議でもあり、最も注目されたことは、英語以外でドメイン名を表記する、国際化ドメイン名の進展であった。ICANNでは、国ごとのTLD（ccTLD)国際化の<a href="http://www.icann.org/en/announcements/announcement-16nov09-en.htm">スピード審査手続きを発表</a>し、エジプトのIGF開催中に申請の受け付けを始めた。会場では、ロシアとエジプトが、手続き申請第一号として宣言した。その後も、いくつかの国で申請が出されている模様である（日本でも、昨年から総務省の情報通信審議会情報通信政策部会インターネット基盤委員会で<a href="http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/090428.html">検討がなされている</a>）。<br />
　<br />
　サーフ博士と並び、もう一人の「インターネットの父」であるロバート・カーン氏は、今のドメイン名システムだけがネットワークの技術とは限られず、出版業界ではコンテンツの識別のためにCNRI(Corporation for National Research Initiatives)の管理する「ハンドル・システム」が使われてきたように、別のシステムを考えても良いことを指摘した。同氏は、今のIGFの仕組みは、そうした議論の場にも使えるとも述べた。</p>

<p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　◇<br />
　<br />
　次回は、ＩＣＡＮＮとＩＧＦとの関係の変化についてもう少し詳しく述べるとともに、クラウド時代におけるインターネット管理とはどのようにあるべきかを考察してみたい。</p>

<p><br />
<table BGCOLOR="#FFFACD"><tr><td><p><B>＜筆者紹介＞加藤　幹之(かとう・まさのぶ)</b>富士通研究所　常務取締役<br />1977年3月東京大学法学部卒業。同年4月富士通に入社し、海外関係の法務案件に従事。84年6月ミシガン大学ロースクール留学（法学修士）。87年7月サンフランシスコ駐在（法律事務所にて紛争処理担当）。89年8月からワシントンD.C.に駐在。02年6月、15年ぶりに帰国し、法務、知財部門を6年間担当。08年9月からシリコンバレーで米州ビジネスを担当し09年7月帰国、現職につく。富士通の中央研究所の役割を果たす富士通研究所に所属して、富士通グループの技術ロードマップ作成等を担当。ワシントン時代から継続して、インターネットや電子商取引、知的財産権、独禁法、科学技術政策等の制度議論に参加し、国際的に活動中。Internet Law & Policy Forum (ILPF)名誉会長や、Internet Corporation for Assigned Names and Numbers (ICANN)のアジア太平洋豪州地域代表理事等を歴任した。米国（ニューヨーク州、ワシントンD.C.)で弁護士資格を持ち、専門分野での論文や講演も多数。</p></td></tr></table><br />
</p>]]>
</content>
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<title>グーグル問題が浮き彫りにした「電子図書館後進国」日本</title>
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<modified>2009-12-08T03:35:12Z</modified>
<issued>2009-12-08T03:26:02Z</issued>
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<summary type="text/plain"> 　 　今年の春、日本の出版界に衝撃を与え、以来大きな議論を巻き起こした「グーグ...</summary>
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<name>NIKKEI</name>

<email>yuji.ichige@nex.nikkei.co.jp</email>
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<dc:subject>00100ネット時評</dc:subject>
<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://nikkeidigitalcore.jp/">
<![CDATA[<p><img alt="kidokoro2009.jpg" src="http://nikkeidigitalcore.jp/images/kidokoro2009.jpg" width="100" height="130" /><br />
　<br />
　今年の春、日本の出版界に衝撃を与え、以来大きな議論を巻き起こした「グーグル・ブック検索」和解問題。著作権者側、グーグル側の両当事者は10月7日に開かれたニューヨーク州連邦地裁での会合で、11月9日までに修正和解案を提出すると約束していた。その期限は11月13日まで延期され、同日の真夜中、日付が変わる直前に出された。修正和解案（以下、修正案）は、世界中から提出された400以上の異議申し立て・意見および司法省の意見を反映して（以前のコラム<a href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2009/10/post_208.html">「グーグル和解問題に見る米国のしたたかな国家戦略」</a>参照）、以下のような修正を加えた。<br />
　<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p><strong>和解案の修正点</strong></p>

<p>＜集団訴訟関連＞<br />
　対象著作物を2009年1月5日までに出版され、米国著作権局に登録された著作物および英国、カナダ、オーストラリアで出版された著作物に限定した。これによって、これ以外の国の著作権者は、著作物を米国著作権局に登録していないかぎり、集団訴訟のクラスメンバーではなくなった。日本を含む外国の著作権者にとっては最大の修正点である。旧英連邦諸国を対象としたのは、法体系や出版業界の慣行が類似していることを理由にあげている。確かに旧英連邦諸国は、大陸法とともに世界の2大法体系を形成している「英米法」を採用している。</p>

<p>＜独禁法問題関連＞<br />
　①価格支配問題については、当初案よりも権利者に価格交渉権を与えた。②デジタル化した書籍を一元管理するという版権レジストリが、グーグルより好条件を第三者に与えた場合、グーグルにもその条件を適用する「最恵国待遇条項」を撤廃した。③米国のみだった版権レジスト委員に英国、カナダ、オーストラリアの作家および出版社の代表も加えた。</p>

<p>＜孤児作品問題＞<br />
　当初案は権利者が和解に参加したいと意思表示すれば集団訴訟の構成員となるオプトイン方式ではなく、離脱したいと意思表示しないかぎり集団構成員となるオプトアウト方式を採用した。孤児作品とは権利者の死亡などにより権利者が不明な著作物だが、離脱の意思表示をする権利者がいないため、自動的に和解に組み込まれてしまう。当初案は孤児作品の利用権をグーグルに付与した結果、グーグルが孤児作品を事実上独占してしまう問題が生じた。修正案もオプトアウト方式を踏襲したため、孤児作品も和解に組み込まれる点は変わらないが、独占の批判を回避するため、グーグル以外の第三者も利用できるようにした。孤児作品の利用から得られた収益についても、当初案は請求した権利者に分配するようにしていたが、修正案は権利者には分配せず、読み書き関連の慈善団体に寄付することとした。</p>

<p>　修正案はこのように多くの重要な修正を行っているが、当初案の基本的枠組みは変えていない。</p>

<p><br />
<strong>今後のスケジュール</strong></p>

<p>　ニューヨーク州連邦地裁は11月19日、修正和解案を仮承認した。同時に異議申し立て、離脱、意見の提出期限を2010年1月28日までとし、2月28 日に公正公聴会を開催すると発表した。その後、司法省の意見提出期限を2月4日までとした。</p>

<p>　修正案が正式に承認されるかどうかは、修正案に対してどのような異議申し立てや意見が出されるか、それらにもとづいて司法省がどのような意見を提出するかにもよるので、現時点では何ともいえない。しかし、グーグルがすでにデジタル化した1200万冊のうち、約半分の600万冊が英文書籍といわれている。修正案が承認されれば国会図書館の和漢書蔵書数656万冊に迫る世界最大の電子図書館が誕生することになる。</p>

<p><br />
<strong>国会図書館の書籍デジタル化計画</strong></p>

<p>　ひるがえって、わが国の電子図書館構想はどうなっているだろう。国会図書館のデジタル化計画では、デジタル化するのに著作権者の許諾が必要なため、著作権者を探し出し、許諾を得るための手間と費用がかかる。このため、蔵書の2％に満たない15万6千冊しかネット公開できていない。今年の著作権法改正で、国会図書館が著作権者の許諾なしにデジタル化できる対象は広がった。補正予算にも蔵書のデジタル化を加速するために前年比100倍の127億円の予算が計上されている。これにより1968年までの図書、雑誌等90万冊を2年間でデジタル化する。</p>

<p>　国会図書館はデジタル化を進めるにあたり、著作権者団体や出版者団体など関係者との協議会を設置した。そこでの合意事項には、①作成するのは画像データでありテキスト化は今後検討する②閲覧利用は国会図書館の本館と関西館などに限る③作成したコンテンツは外部のネットワークと完全に遮断する――などの厳しい制限が課されている。著作権切れの書籍だけでなく、デジタル化した書籍の7割を占める絶版書籍もネットで自宅から閲覧できるグーグルの書籍検索サービスとの格差はあまりにも大きい。</p>

<p>　長尾真国会図書館長は、11月28日に明治大学法科大学院が開催した「知的財産法の未来」シンポジウムで「図書館のデジタル化に伴う諸問題」について基調講演し、IT時代に望まれる著作権法として、①万人が読者兼著作者である時代であるから、著作物の相互利用を促進すべきである②（権利者不明の著作物を利用しやすくする）文化庁長官の裁定手続きを簡単にする③著作権者データベースを作り、これに登録していない著作者の作品は孤児出版物とみなす④フェアユース規定の導入⑤許諾権から報酬請求権へ、さらに名誉権へ――などを掲げた。</p>

<p>　記録をひもとくと、1999年10月31日付の朝日新聞によれば、同社が主催した「デジタル世紀の著作権」シンポジウムでの基調講演でも、当時京大学長だった長尾氏は報酬請求権化などの提案を行っている。さらにその５年前、94年には岩波書店から「電子図書館」を出版、以前このコラムで紹介した電子図書館構想（<a href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2009/08/post_203.html">「ブック検索騒動で日本の書籍デジタル化は加速するか」</a>参照）の原型となるシステムを作成中と説明している（124ページ）。</p>

<p>　94年といえば検索エンジンが日米で誕生した年だ。そして、フェアユース規定の有無がその後のサービス普及の明暗を分けた（<a href="http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2009/10/post_209.html">「国家戦略の視点でフェアユース導入議論を」</a>参照）。音楽ネット配信サービスでも、技術的にはソニーがアップルより先行したようだが、ソニーは厳格な著作権管理システムを採用したため、緩やかなシステムを採用した後発のアップルに抜き去られてしまった。音楽事業会社を抱えているソニーは、厳格な著作権管理システムを採用せざるを得なかったという事情もあった。しかし、フェアユース規定もなく、権利者寄りの著作権法に守られているわが国では、ユーザーの利便性を重視した緩やかな著作権管理という発想自体が出にくかったのは想像に難くない。</p>

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<strong>ここにも「失われた10年」問題</strong></p>

<p>　グーグルが電子図書館構想を発表したのは2004年なので、長尾館長はその10年前に電子図書館構想の原型となるシステムをつくっていたことになる。今回の訴訟の和解案がデジタル化した書籍から得られる収入を分配するために設立しようとしている版権レジストリも長尾構想に類似しているが、長尾館長はこの構想を和解案発表半年前の08年4月に出版学会で発表している。電子図書館構想も、技術や構想は米国より先んじたにもかかわらず、法制度の壁に阻まれて果実は米国勢に持っていかれるおなじみのパターンだったわけである。</p>

<p>　国会図書館が著作権者の許諾なしにデジタル化できる対象を拡大した今年の著作権法改正には、まず衆議院で「国会図書館において電子化された資料については、図書館の果たす役割にかんがみ、その有効な活用を図ること」との決議が附され、参議院でも同趣旨の附帯決議がなされた。せっかく法律を改正し、多額の予算を使ってデジタル化した蔵書が館外不出では、附帯決議の趣旨にも反する。国会図書館に気軽に行けるのは、首都圏と関西圏の人に限られているため、地方住民の「知る権利」の保障という観点からは憲法違反のおそれすらある。こうした状況を改善するため、今年11月に日本文芸家協会や日本書籍出版協会などが、「日本書籍検索制度提言協議会」を設立、国会図書館所蔵の和書をデジタル化し、著作権者の許諾を得て、ネット配信する仕組みを来春をめどに検討することとした。</p>

<p>　海外の動きはどうか。欧州連合（EU）は08年11月に欧州デジタル図書館（Europeana）を開設した。09年8月には、各国から提供を受けたデジタル書籍数460万点がEU内に存在するデジタル書籍の5％にとどまることから、2010年までに所蔵規模を1000万点に拡大すると発表。グーグル和解修正案発表後の11月には加盟国の文部大臣が集まって、デジタル化に伴う著作権問題などについて話し合った。グーグル和解により、科学、教育関連資料や欧州の文化遺産へのオンラインアクセスについて、大西洋の東西での格差が拡大することから、同種のプロジェクトを早急に展開する必要があるとし、欧州デジタル図書館への協力強化を呼びかけた。韓国は今年5月に世界初のデジタル専門図書館を開館、中国も国家図書館の新館として国家デジタル図書館を08年に竣工させた。</p>

<p>　国会図書館の柳与志夫電子資料課長は「国としての方向性もなく、それぞれの担当者や組織の思惑で試行錯誤している日本の状況を見ると、スピードが第一のこれからの出版・メディア界の中で、出版コンテンツ事業の分野での立ち遅れが心配である。」と指摘している（Journalism 09年6月号）。</p>

<p>　電子図書館構想を自社にとっての「人類を月に送る計画」と位置付け、期間もケネディ大統領の計画と同じ10年での達成をめざして突き進むグーグル、グーグルの独走は許すまじと懸命に追いかけるＥＵやアジア諸国。わが国の関係者がこの際、小異を捨てて大同につかないかぎり電子図書館後進国への道は避けられない。</p>

<table BGCOLOR="#FFFACD"><tr><td><p><B>＜筆者紹介＞城所　岩生（きどころ　いわお）<br>国際大学GLOCOM客員教授／米国弁護士</b><br>東京大学法学部卒、ニューヨーク大経営学修士・法学修士。1965 年ＮＴＴ入社、1986年から米国現地法人の幹部を歴任した後、1994年退社。米国弁護士 （ニューヨーク州・首都ワシントン）、成蹊大学法学部教授を経て、2009年から現職。専門は情報通信法、アメリカ法。著書：「米国通信戦争」（1996年、日刊工業新聞社）、「米国通信改革法解説」（2001年、木鐸社）ほか。</p></td></tr></table>]]>
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